目次
- 1 ハギレ革を買って作ってみたけど、動画やSNSで見た作品と全然違う……なんでこんなに革がふにゃふにゃなの?柔らかいほうが作りやすいんじゃないの?
- 2 思った以上に穴あけの音が大きい!そのわりに、きれいに穴があかない
- 3 というか、こんなに力が必要なの、この趣味?階下から苦情が来そう……(;・∀・)
- 4 革包丁って難しくない!?そもそも、どう持ってどう動かすの?
- 5 カッターって100均のでいいよね?でも、なんでまっすぐ切れないの!?
- 6 接着したのに革がズレる。ボンドの量ってどれくらいが正解?
- 7 針と糸を買ってみたけど、この太さの組み合わせで合ってる?
- 8 縫ってみたけど縫い目が汚いのはなぜ?なぜ動画の人みたいにきれいじゃないの?
- 9 Amazonの格安工具セットを買ってみたけど、なぜかきれいに作れない
- 10 「革を漉く」ってなに?なんでわざわざ薄くするの?
- 11 ホックってこんなに失敗するの!?難しくない!?
1 ハギレ革を買って作ってみたけど、動画やSNSで見た作品と全然違う……なんでこんなに革がふにゃふにゃなの?柔らかいほうが作りやすいんじゃないの?
レザークラフトを始めるとき、「まずは安いハギレ革で練習してみよう」と考える方は多いと思います。ところが実際に作ってみると、「動画やSNSで見た革や作品と全然違う」「なんでこんなにふにゃふにゃなんだろう?」「柔らかい革のほうが加工しやすいんじゃないの?」となることがあります。
これは、単純に「革」といっても、鞣し方や部位によって性質が大きく違うためです。
-革は鞣し方で性質が変わる
代表的なのが、タンニン鞣しとクロム鞣しです。
-タンニン鞣し
タンニン鞣しの革は、比較的硬く、しっかりとしたものが多いのが特徴です。鞣しに手間がかかるため価格も高くなりやすく、水や光の影響を受けやすい革でもあります。
その一方で、スタンピングや染色などの加工がしやすく、使い込むことで色や艶などの風合いが変化していきます。
-クロム鞣し
クロム鞣しの革は、柔らかく、タンニン鞣しの革に比べてコシの弱いものが多くなります。世界で生産されている革の大部分を占める、非常に一般的な鞣し方です。
水や光、ダメージに比較的強く、軽く仕上げやすいのが特徴です。一方で、タンニン鞣しの革のようなスタンピングや後からの染色には向かず、使い込んだときの変化もタンニン革ほど大きくありません。
-ハギレで売られている革と、革屋で選ぶ革の違い
ハギレとして販売されている革は、さまざまな革の余った部分などがまとめられていることがあります。そのため、何という革なのか、どんな鞣しなのか、どのくらいの硬さや厚みなのか、どんな用途に向いているのかが分からないまま購入することもあります。
革屋で革を選ぶ場合は、作りたいものに合わせて革の種類、硬さ、厚みなどを選ぶことができます。「革なら何でも同じように作れる」というわけではありません。
-同じ革でも部位によって違う
革は1枚の中でも、場所によって性質が違います。背中側は比較的繊維が締まっていて、しっかりしています。一方、腹側は繊維がゆるく、伸びやすかったり、加工しづらかったりします。
同じ種類の革でも、どの部位を使うかによって作業のしやすさや仕上がりが変わります。
-銀面と床面
革には表と裏があります。表側を銀面(ぎんめん)、裏側を床面(とこめん)と呼びます。
銀面と床面では、見た目や手触りだけでなく、接着剤の付き方なども違います。レザークラフトでは頻繁に出てくる言葉なので、まず覚えておきましょう。
-革はコラーゲン線維の集合体
革は、もともと動物の皮です。その主成分であるコラーゲン線維が複雑に絡み合うことで、革という素材ができています。当然、永久に同じ状態を保てる素材ではありません。時間が経てば少しずつ劣化していきます。その劣化をできるだけ遅らせ、長く使うために革の手入れがあります。
-革は切りっぱなしでもほつれにくい
布と革の大きな違いのひとつが、切った部分です。布は切ったままにすると糸がほつれてきますが、革は基本的に切りっぱなしでも布のようにほつれてきません。これはレザークラフトをするうえで大きなメリットです。
-柔らかい革=作りやすい、ではない
柔らかければ作りやすいわけでも、硬ければ良い革というわけでもありません。
ふんわりとしたバッグを内縫いで作りたい、というのならば柔らかい革が最適です。ですが、手縫いで作る、という場合は硬めの革のほうがあなたの力を受け止めてくれます。
大切なのは、「革は全部同じではない」ということです。作りたいものに合った革を選び、腹・背中の部位を選び、漉き(厚みを調整する)をすることが、きれいに作るための最初の一歩です。
めんどくさっ!と思われがちですが、セミナーで革を触って体感してみてください。
漉き作業・表面処理・下地加工の重要性
上記動画では「鞣し」「裏面を漉く」「部位」の3つを注意しましょう、という点をあげています。この3点を理解しておかないと接着力は落ちます。
2 思った以上に穴あけの音が大きい!そのわりに、きれいに穴があかない
レザークラフトで菱目打ちを使ってみると、「思っていたより音が大きい」「かなり強く叩いているのに、きれいに穴があかない」と感じることがあります。
きれいに穴をあけるために大切なのは、単純に強く叩くことではありません。
ポイントは、「与えた力を逃さない」ことです。
-叩く力より、工具をしっかり保持する
菱目打ちを強く叩いても、打つ瞬間に工具がグラついてしまえば、力は横方向へ逃げてしまいます。穴が斜めになったり、思ったところに入らなかったりする原因にもなります。
感覚としては、工具を保持することに8割、叩く力は2割くらいで考えてみてください。
「強く叩く」よりも、「菱目打ちを狙った場所から動かさない」ことに意識を向けたほうが、きれいな穴をあけやすくなります。
-土台がとても大事
もうひとつ重要なのが、作業する土台です。
極端な話、こんにゃくの上に革を置いて叩いても、せっかく加えた力が下へ逃げてしまいます。柔らかすぎる机やグラグラする台の上では、同じようなことが起こります。
菱目打ちそのものだけでなく、その下にある土台まで含めて工具と考えてください。しっかりした土台を使うだけでも、穴のあき方や必要な力は変わります。土台は机の位置でも変わります。
-ハンマー・木槌によっても変わる
何で叩くかによっても、力の伝わり方は変わります。
ハンマーや木槌は、それぞれ重さや形、バランスが違います。同じ菱目打ちを使っていても、叩く道具を変えるだけで「こちらのほうが楽に穴があく」「こっちは力が逃げやすい」と感じることがあります。
実際にいくつか使い比べて、自分が保持しやすく、力を伝えやすいものを探してみましょう。
-革のどの部位を使うかでも違う
革は1枚の中でも、場所によって繊維の締まり方が違います。
背中側は比較的繊維が締まっていますが、腹側は繊維がゆるく、柔らかく伸びやすい部分です。そのため、腹側は菱目打ちを使ったときにも革が動きやすく、作業しづらくなります。
作品を作る際は、できれば繊維が比較的締まった部位=背中近辺を選んだほうが、出来上がりはきれいになりますし、作業も楽です。
-強く叩けば解決するわけではない
穴があかないと、つい「もっと強く叩こう」と考えてしまいます。
ですが、
工具をしっかり保持する
力を逃がさない土台を使う
叩きやすいハンマー・木槌を使う
作業しやすい革の部位を選ぶ
こうした条件を整えるほうが先です。
菱目打ちは、腕力だけで穴をあける工具ではありません。どうすれば力をまっすぐ革へ伝えられるかを考えることが、きれいに穴をあけるための基本です。
3 というか、こんなに力が必要なの、この趣味?階下から苦情が来そう……(;・∀・)
菱目打ちやホック打ちをやっていると、「こんなに力いっぱい叩かなきゃいけないの?」「思っていたより音が大きい……」となることがあります。ですが、レザークラフトは力任せに木槌を振り回す趣味ではありません。大切なのは、自分の力を効率よく工具へ伝えることです。
-まずは土台が大事
前の項目でも触れましたが、叩く作業では土台がとても重要です。
どれだけ強く叩いても、机や土台が揺れてしまえば、その分だけ力が逃げてしまいます。逆に、しっかりした場所で作業すれば、それほど大きな力を使わなくても工具へ力を伝えることができます。「もっと強く叩かなきゃ」と考える前に、まずは今叩いている場所が安定しているかを確認してみてください。
-「80cmの釘で地面を貫く」イメージで叩く
木槌で菱目打ち・カシメを打つ際は、工具の頭を叩くイメージではなく、長さ80cmくらいの釘を打って、そのまま地面まで貫くようなイメージで叩いてみてください。工具の頭を叩く、ではなく、先端を地面に突き刺すイメージです。
工具をしっかり保持して、叩く目的=穴を開けるというイメージが安定すると、必要以上に力を入れなくても、工具へ効率よく力を伝えやすくなります。
-腕力だけではなく、木槌の重さを使う
木槌は腕の力だけで叩くものではありません。遠心力と、木槌そのものの重さを利用します。だから、軽くて小さいプラスチックハンマーは遠心力は働きづらいです。また金槌では工具を痛めます。下記は金槌で叩いたために頭を痛めた状態です。
-木槌によっても叩きやすさは変わる
木槌やハンマーは、重さや大きさによって使ったときの感覚がかなり違います。
軽いもの、小さいものが必ずしも扱いやすいとは限りません。ある程度重さのある木槌のほうが、その重さを利用できるため、少ない力で叩きやすいこともあります。
実際に違う木槌を使い比べてみると、この違いはかなり分かりやすいと思います。
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-「強く叩く」より「力をうまく伝える」ことを意識する
レザークラフトの打撃作業では、
しっかりした土台を使う
力の方向性を意識する
クラフト社の太鼓木槌を遠心力を意識して使う
この3つを意識するだけでも、必要な力は変わります。
腕力だけに頼って力いっぱい叩くのではなく、どうすれば自分の力を無駄なく工具へ伝えられるかを考えてみましょう。
4 革包丁って難しくない!?そもそも、どう持ってどう動かすの?
レザークラフトを始めると、「革を切るなら革包丁が必要なんだろう」と思う方も多いと思います。ですが、初心者の方には無理に革包丁をおすすめしていません。革を切るだけなら、まずはカッターで十分です。では、なぜ革包丁という工具があるのでしょうか。
-革包丁は「研いで使わなきゃいけない工具」
革包丁で一番大事なのは、使い方以前に刃をきちんと研ぐことです。
革包丁は、買った状態のままずっと使い続ける工具ではありません。使えば刃先は少しずつ傷み、切れ味は落ちていきます。そのため、砥石を使って自分で刃を研ぎながら使います。つまり革包丁を買うということは、革包丁だけではなく、砥石と研ぐ技術も必要になるということです。
研がずに使い続ければ、どれだけ高い革包丁を買っても本来の性能は発揮できません。
-切れない刃物ほど力が必要になる
革包丁が切れないと、つい腕に力を入れて押し切ろうとしてしまいます。ですが、本来はしっかり研がれた刃が革に入っていくことで切れる工具です。力任せに使うものではありません。
「革包丁ってこんなに力が必要なの?」と感じた場合は、持ち方や動かし方だけでなく、そもそも刃がきちんと切れる状態なのかを考える必要があります。セミナーでは刃物がなぜ切れるか?切れていない状態はどういうものか、を体感していただきます。
-初心者ならまずカッターをきちんと使おう
革包丁は便利な工具ですが、レザークラフトを始めるための必須工具ではありません。
革を切ることが目的なら、まずはカッターをきちんと使えるようになるほうが簡単です。カッターなら刃の切れ味が落ちても、新しい刃を出したり折ったりすることで簡単に切れ味を戻すことができます。
「レザークラフトをするなら革包丁を使わなければならない」わけではありません。
まずカッターできちんと革を切る。そのうえで革包丁を使いたくなったら、研ぎ方も含めて覚えていきましょう。
5 カッターって100均のでいいよね?でも、なんでまっすぐ切れないの!?
革を切るだけなら、カッターは特別に高価なものでなくても使えます。ただし、「カッターなら何でも同じ」「刃が付いていれば切れる」というわけではありません。革をきれいに、まっすぐ切るためには、カッターの大きさ、刃の状態、定規の使い方が重要です。
-女性でも大きなカッターがおすすめ
「手が小さいから、小さいカッターのほうが使いやすそう」と思うかもしれませんが、革を切る場合はむしろ大きなカッターのほうがおすすめです。
大きなカッターは手で触れる面積が大きくなるため、しっかり保持しやすくなります。保持しやすければ力が逃げづらくなり、刃を安定して動かすことができます。
これは女性や力に自信がない方でも同じです。小さい工具のほうが必ず扱いやすい、というわけではありません。
セミナーでは実際にカッターを触ってみて体感してみてください。
-カッターは「押さえつけながら切る」
革を切るときは、カッターをただ前へ引くだけではなく、革に対して刃をしっかり押さえつけながら動かします。カッターは、まず刃の先端を革に食い込ませ、そのまま刃の部分で革を切っていきます。
ここでも大切なのは、力任せに切ることではなく、カッターをしっかり保持して力を逃がさないことです。
-1回で切らなくていい
厚い革を見ると、「一発で切りきらなければ」と思って力を入れてしまいがちです。ですが、1回で切る必要はありません。
1回目は、革を完全に切るためではなく、2回目以降に刃が通るガイドラインの溝を作るくらいの感覚で大丈夫です。
最初に浅い溝ができれば、2回目の刃はその溝に沿って進みやすくなります。さらに必要なら3回目、4回目と同じ場所を通して切れば構いません。無理に一発で切ろうとするよりも、何回かに分けて切ったほうが、力も必要なく、まっすぐ切りやすくなります。
-とにかく刃をこまめに折る
上記のガイドラインの溝を作るためには、カッターの刃の先端が尖り、刃の部分が切れなければ意味がありません。
使っているうちに刃先(先端+刃)は少しずつ傷み、切れ味が落ちていきます。切れ味が悪くなると、必要以上に力を入れなければ切れなくなり、その結果カッターがブレやすくなります。
ですので、カッターの刃は惜しまないでください。私は1日1本使う勢いでカッターの刃を折ります。
「完全に切れなくなってから折る」のではなく、少し切れ味が落ちてきたと感じた段階で新しい刃先を使います。
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-まっすぐ切るには、定規が大事
まっすぐ切れないとき、カッターばかりを気にしがちですが、実は定規も非常に重要です。革を切るときは、薄くて頼りない定規よりも、ある程度厚みがあり、しっかりした定規を使ったほうが安定します。
そして、カッターを動かすこと以上に大事なのが、定規を動かさないことです。
感覚としては、定規を押さえることに7割、カッターで切ることに3割くらいで考えてみてください。
定規が途中で動けば、どれだけカッターを上手に動かしてもまっすぐには切れません。
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-高いカッターを買えば解決するわけではない
カッターできれいに切るために大切なのは、
保持しやすい大きさのカッターを使う
刃をこまめに折って、切れる状態を保つ
しっかりした定規を使う
定規をきちんと押さえる
1回で切ろうとしない
が基本です。
100均のカッターだからまっすぐ切れない、という単純な話ではありません。まずは、切れる刃を維持し、カッターをしっかりと保持し、動かない定規に沿わせることを意識してみてください。
これはyoutubeやAI、文章でもわからず、実際に体感したほうが話が早いです。セミナーで実際に切ってもらうことで体感してもらいます。
6 接着したのに革がズレる。ボンドの量ってどれくらいが正解?
レザークラフトでは、縫う前に革同士を接着して固定することがよくあります。ところが実際にやってみると、「貼ったはずなのにズレる」「ボンドはどれくらい塗ればいいの?」「両面テープじゃダメなの?」と迷うことがあります。接着剤にはそれぞれ特徴があります。
-両面テープはとにかく手軽
両面テープの一番のメリットは、貼るだけで使えることです。乾燥を待つ必要もなく、貼ったその場で革を固定できます。また、銀面にも貼り付けることができます。
ただし、両面テープの粘着部分は薄く見えても、実際には粘着剤の層があります。この部分を針と糸が通り抜けると、粘着剤が針や糸に付いてドロドロと汚れてしまうことがあります。縫い線の上に両面テープを使う場合は、この点を考える必要があります。
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-ゴムのりは「塗って、乾かしてから貼る」
ゴムのりは、接着する両方の面に塗って使います。ここで重要なのは、塗ってすぐ貼るのではなく、乾いてから貼り合わせることです。
「乾いてしまったら、もう付かないのでは?」と思うかもしれませんが、ゴムのりは乾いてから接着します。1日ほど経ってからでも接着でき、貼り直しもしやすいのが特徴です。一方で臭いが強く、銀面には基本的には接着出来ません。
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-白ボンドは1回塗りで使いやすい
革用の白ボンドは、見た目は木工用ボンドによく似ていますが、比較的さらっとしています。1回塗りで使うことができ、銀面にも一応接着します。
ただし、ゴムのりのように乾いてから好きなタイミングで貼るものではありません。塗ってから時間が経つと乾いてしまい接着ができなくなります。塗ったら短時間で貼り合わせる必要があります。
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-ボンドは多ければいいわけではない
接着剤は、たくさん塗れば強く付くというものではありません。必要以上に厚く塗れば、はみ出したり、乾きにくくなったり、仕上がりを悪くする原因になります。
必要な場所に、接着できるだけの量を均一に塗るのが基本です。この「どれくらい塗ればいいのか」は文章だけでは分かりづらいので、セミナーでは実際に両面テープ、白ボンド、ゴムのりを使って違いを体験してもらいます。
-接着剤はきっちり塗る
これは実演します。きっちりと、端まで塗ります。
-接着剤は作業内容で使い分ける
両面テープ、白ボンド、ゴムのりには、それぞれメリットとデメリットがあります。両面テープは手軽、ゴムのりは貼り直しがしやすい、白ボンドは1回塗りで扱いやすい、とそれぞれ特徴が違います。
「どれが一番いい接着剤か」ではなく、「今から何をするのか」で使い分ける。これが接着剤を選ぶ基本です。
7 針と糸を買ってみたけど、この太さの組み合わせで合ってる?
レザークラフトを始めると、「針はこれでいいの?」「糸は何mmを選べばいいの?」と迷います。ですが、針と糸だけを見て決めるのではなく、まずはどの菱目打ちを使っているのかを確認することが大切です。
-菱目打ちのサイズ表記はメーカーによって違う
少しややこしいのですが、菱目打ちのサイズ表記には統一された基準がありません。たとえばクラフト社と協進エルでは、サイズの表記方法が異なります。同じような数字が書かれていても、実際の穴の大きさや間隔が同じとは限りません。
そのため、まず自分が使っている菱目打ちが、どのメーカーのものなのかを覚えておくことが大切です。または購入したら「これはクラフト社!」「これは協進エル!」と覚えておいてください。
菱目打ちのサイズ表記についてはこちらでも詳しく解説しています。
-番手が変わると、縫い目の大きさも変わる
基本的には、メーカーが異なっても番手が大きくなるほど菱目の間隔が広くなり、あく穴も大きくなります。
小さな番手を使えば、穴も縫い目も小さくなります。そのため、財布やバングル、アクセサリーなどの小物に向いています。
反対に大きな番手を使えば、穴も縫い目も大きくなります。ベルトやトートバッグなど、大きな作品ではこちらのほうがバランスを取りやすくなります。
-針と糸は、菱目打ちに合わせて考える
菱目打ちであけた穴が小さいのに太い糸を使えば、糸が通りづらくなります。反対に大きな穴に細い糸を使えば、縫い目が頼りなく見えることがあります。
小さな菱目打ちで穴をあけて縫っていくと、時間がかかります。大きな菱目打ちならば5回縫えば終わる距離を小さな菱目打ちでは8回縫わなきゃいけません。
つまり、
作るものを決める → 菱目打ちの番手を決める → その穴に合った針と糸を選ぶ
という順番で考えると分かりやすくなります。
「針と糸は何を買えば正解?」と単独で考えるのではなく、まず自分が作りたい大きさを教えてください。
基本は「1番小さいものより1つか2つ大きなもの」を最初に買うことをオススメします。最初は財布やブックカバーなり作りますから。バッグなど作りたい!と思うと1番小さいものより3番目に大きな菱目打ちをオススメします。縫う効率が俄然変わりますから。1番大きなのはベルトを縫う時くらいがオススメです。
8 縫ってみたけど縫い目が汚いのはなぜ?なぜ動画の人みたいにきれいじゃないの?
レザークラフトで手縫いをしてみると、「一応縫えているけど、縫い目が揃わない」「動画で見る人のようにきれいにならない」と感じることがあります。きれいな縫い目を作るには、縫い方だけではなく、菱目打ちでどのように穴をあけるかも重要です。
-まず、穴を一直線にあける
きれいな縫い目を作るには、まず菱目打ちで穴を一直線にあけることが大切です。そのためには、菱目打ちを「丸い棒」ではなく、「1枚の板の下に、フォークのような刃が一直線に並んでいる工具」と考えます。
実際には丸い柄を握っていますが、その下では複数の刃が一直線に並んでいます。その板を、これから縫う予定の線と一直線に保持して打てば、刃も一直線に並び、穴もきれいに揃います。
つまり、丸い棒を持っているのではなく、1枚の板を保持していると考えるのがポイントです。
-菱目打ちの穴は、なぜ菱形なのか?
菱目打ちであけた穴は、丸ではなく斜めの菱形になっています。これは単に見た目のためだけではありません。手縫いをしやすくし、縫い目を整えやすくするためでもあります。
もし穴が丸いだけなら、反対側から針を入れるときに「どこを通ればいいのか」が分かりづらくなります。先に通っている糸が穴の中央付近にあると、後から入れた針がその糸を貫いてしまうことがあります。
その点、菱形の穴には方向があります。穴の左下と右上に先端があるため、先に通した糸を左下へ逃がし、反対側から入れる針を裏側から菱穴の右上側へ通す、という方法が使えます。
-1つの穴に2本の針を同時に入れようとしない
よく職人さんがやっている「1つの穴に両側から2本の針を入れて、そのまま引っ張る」という縫い方は、慣れていないうちは失敗しやすいです。針がどこを通ればいいのか分からず、先に通した糸を後から入れた針で刺してしまうことがあります。
まずは急がず、1つずつ作業してみましょう。
1 表側から菱穴に針を通し、通した糸を左下へ引っ張る
2 反対側から、菱穴の右上側を狙って針を通す
3 両方の針が通ってから、左右の糸を引っ張って締める
急がなくて大丈夫です。1つずつ順番に行えば、針で糸を刺してしまう失敗を減らし、縫い目もきれいに揃えやすくなります。
-毎回同じ手順で縫う
きれいな縫い目を作るためには、毎回同じ手順で縫うことも大切です。ある穴では糸を左下へ逃がし、次の穴では違う位置へ通す、というように手順が変わると、縫い目の向きも揃いません。
菱形の穴を利用して、毎回「糸は左下、反対側の針は右上」という同じ動きを繰り返します。これによって糸の位置が揃い、縫い目も整いやすくなります。
-ポニーを使うと両手が使える
手縫いでは、革を持ちながら左右の針を操作する必要があります。そこで便利なのがポニーです。
ポニーで革を挟んで固定すると、革を持つ必要がなくなり、両手を針と糸の操作に使えます。「糸を左下へ逃がす」「反対側の針を右上へ通す」という動作にも集中しやすくなります。
セミナーでは、菱目打ちの向きの考え方から、実際の縫い方、ポニーを使った場合の違いまで体験してもらいます。
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9 Amazonの格安工具セットを買ってみたけど、なぜかきれいに作れない
Amazonなどでは、レザークラフトに必要な工具が一式入った格安セットが販売されています。最初に必要なものがまとめて揃うので便利ですが、実際に使ってみると「なぜか作業しづらい」「動画で見るようにうまくできない」と感じることがあります。ここまでの内容を思い出しながら、実際の工具を見てみましょう。
基本は「小さくて、薄くて、軽くて、柔らかい工具は使いづらい」です。
-小さい工具は保持しづらい
小さい工具は一見扱いやすそうですが、手で触れる面積が小さいため、しっかり保持しづらくなります。保持しづらければグラつきやすくなり、加えた力も逃げやすくなります。
-薄い・柔らかい工具は力を受け止めづらい
土台や定規などは、薄いほどたわみやすくなります。たわめば力をしっかり受け止めることができず、作業も安定しません。
-軽い工具が使いやすいとは限らない
工具が軽すぎると、工具自身の重さを利用しづらくなります。また、手元がグラつきやくなります。レザークラフトでは、「小さくて軽いから初心者向き」とは限りません。
私が工具を見るときのひとつの基準は、「重くて、でかくて、硬い」です。もちろんすべての工具に当てはまるわけではありませんが、保持しやすさ、力の伝わりやすさ、安定性を考えると、この考え方が役立つ場面は多くあります。
-実際に工具を見てみよう
セミナーでは、実際に格安工具セットを見てもらいます。ここまで学んだ「保持しやすいか」「力が逃げないか」「たわまないか」という視点で見ると、どこが使いづらそうなのかが分かりやすくなります。
「いや、youtubeでこの工具セットを使ってきれいに作っている人を見た!」 経験値を積めば100均の工具だろうが、amazon工具セットだろうがものは作れます。でもそれは経験値を積み、知識を得て理解して、技術を行使しているからです。初心者ほど、格安工具セットには手を出さないほうが良いです。
「安い工具だからダメ」ではなく、「なぜ使いづらいのかを自分で判断できるようになる」ことが大切です。大丈夫。今日ここまで聞いて、実際に触り、ここまで読んでいるあなたならもうわかるはずです。
10 「革を漉く」ってなに?なんでわざわざ薄くするの?
レザークラフトでは「革を漉く」という作業がよく出てきます。簡単にいえば、革の厚みを薄くする作業です。
では、なぜわざわざ薄くするのでしょうか。革は厚みがあるほど丈夫で立派に見えますが、その分だけ曲げづらくなります。漉きは、革の厚みを調整して「曲がりやすさ」「収まり」「縫いやすさ」をコントロールするための作業です。
-厚い革は曲がりづらい
厚い革を曲げると、曲がった部分の内側と外側では動く距離が違います。イメージとしては車の内輪差・外輪差です。
軽自動車なら小さく曲がれますが、大きなトラックは外側へ大きく膨らまないと曲がれません。革も同じで、厚くなるほど小さく曲げることが難しくなります。反対に革を薄くすると、小さな半径でも曲げやすくなります。
-薄くすればいい、というわけでもない
では全部薄くしてしまえばいいのかというと、そうではありません。革は薄くすればするほど曲げやすくなりますが、その分だけ弱くなり、見た目も感触も頼りなくなります。革らしい厚みや存在感を残しながら、必要なところだけ薄くすることが大切です。
-財布の中を見ると漉く理由がわかる
財布などは、外側には比較的厚い革を使っていても、内側のカード入れなどには薄い革を使うことがあります。
すべて同じ厚みの革で作ると、革が何枚も重なった部分だけ極端に分厚くなり、収まりが悪くなってしまいます。内側を薄くすることで、革を何枚重ねても全体の厚みを抑えることができます。
-必要なところだけ薄くする「部分漉き」
革全体を薄くするだけでなく、必要な場所だけを薄くすることもあります。これを部分漉きといいます。
たとえば折り曲げる場所だけを薄くすれば、革全体の厚みや強度を残しながら、その部分だけ曲がりやすくすることができます。
-段差をなくすためにも漉く
革を重ねると、その境目には段差ができます。この段差が大きいと、特にミシンで縫う際に縫い目が安定しなかったりします。
革の端を漉いて段差をなだらかにしておけば、ミシンも通りやすくなります。漉きは見た目だけではなく、作業をしやすくするためにも行います。
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-ヘリ落としはなぜするの?
革の断面を見ると、きれいにカドが立っています。この尖ったカドの部分は擦れや衝撃を受けやすく、傷みやすい場所です。
イメージは川の石です。上流にある尖った岩も、流されながら何度もぶつかるうちに、下流では角が取れて丸くなっています。尖っている部分はダメージを負いやすいわけです。
革も同じように、尖ったカドはダメージを受け、銀面が傷んだり剥がれてくる可能性があります。ですので、ヘリ落としを使ってあらかじめ角を落としておきます。カドが尖っていないとダメージを負いづらい。四角い形よりも丸い形のほうが安定性があるのと同じです。
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-ステッチンググルーバーは必要なのか?
初心者工具セットによく入っているのがこの「ステッチンググルーバー」という工具です。ステッチンググルーバーは、革の銀面を削って縫い糸が収まる溝を作る工具です。糸が革の表面より少し沈むため、外部との摩擦を受けにくくなり、糸が切れづらくなるというメリットがあります。
ただし、溝を作るということは革の銀面を削るということでもあります。銀面を削れば、その部分の革の強度は落ちます。
糸が切れた場合は縫い直すことができますが、一度削った銀面を元に戻すことはできません。そのため、ステッチンググルーバーも「必ず使わなければならない工具」ではありません。
何のために使うのか、メリットとデメリットを理解したうえで使うかどうかを決めます。
クラフト社製 ステッチンググルーバー 本体
価格:¥1,337(2026/08/22時点)
・クラフト社製 ステッチンググルーバー 本体 | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス
-革を削る・薄くするのには理由がある
漉き、ヘリ落とし、ステッチンググルーバーは、どれも革を削ぎ落としたり薄くしたりする作業です。しかし、単に見た目を整えるためだけに行うものではありません。
曲げやすくする、重なりを収まりよくする、段差をなくす、角へのダメージを減らす、糸を摩擦から守る。
それぞれ何のために革を削っているのかを理解してから使うことが大切です。セミナーでは実際に漉き、ヘリ落とし、ステッチンググルーバーを使って違いを体験してもらいます。
11 ホックってこんなに失敗するの!?難しくない!?
レザークラフトで初心者がつまずきやすい作業のひとつが、ホックの取り付けです。特にバネホックは、見た目以上に繊細で、レザークラフトの中でもトップクラスに失敗しやすい金具だと思います。
-強く叩けばいいわけではない
バネホックは、パイプ状の部分が内部でくるっとめくれ上がることで固定されます。そのため、力任せに叩くときれいに変形せず、バネ部分を潰してしまうことがあります。
ここまでの項目でも出てきたように、ホックでも大切なのは「強く叩くこと」ではありません。土台、工具、力の伝え方が重要です。
-小さい工具はやっぱり使いづらい
ホックの打具も、小さいものは保持しづらく、打つ瞬間にグラつきやすくなります。
工具をきちんと保持し、まっすぐ力を伝える。これまで穴あけやカッターの項目で説明してきた考え方は、ホックを取り付けるときにも同じです。
-ホックは「あける穴」も大事
さらにバネホックでは、革にあける穴の大きさも重要です。パーツが入ればそれでOK、というわけではありません。
ホックの構造や、なぜ穴の大きさが重要なのかについては、以前のブログで詳しく解説しています。
バネホックは失敗率が異様に高いので、3点注意しなきゃいけない、という話
-実際に打ってみよう
ホックは文章を読むだけより、実際に一度失敗して、正しい方法でもう一度打ってみたほうが理解しやすい作業です。
セミナーでは実際にホックを打ってもらい、工具の保持、力の入れ方、ホックが内部でどのように固定されるのかを体験してもらいます。
















