転ばぬ先の杖。お守り。ミスったときのリカバリー。1時間をドブに捨てないための工具や薬品


先日大チョンボをしてしまい、取り付けたカシメを200個外すという経験をしまして。。。(´・ω・`)

自業自得なんですがその際に便利だったのがカシメ外し。
これのおかげでわずかな時間で済みました。

 

今回のblogでは金具外しに限らず「ミスらないための工具」や「ミスったときのためにお守りとして持っておいたほうがいいよ」という薬品などを紹介してみましょう

工具や機械は2種に大別できます。

「それがないとどうにもならない=新機能を提供してくれる」
「それがあると時間と労力を削ってくれるor美しくできる=時短化してくれる」

ミスをリカバリーという工具や薬品は基本的に後者の時短工具です。必須工具ではないのですが、「自分の1時間の価値は2000円以上はあるんだよ!」という人は買っておいて損はないです。

個人的におすすめのリカバリーor時短工具をつらつらと紹介してみましょう。

革を傷つけず外せるのが素晴らしい「カシメ外し」

カバン屋さんが考案した、あると便利なカシメ・ホック用金具はずしキット

時短工具だが、「手でいちいちやるよりもきれいにリカバリーできる」のが売り文句。

以前店頭であったやり取り 「こんなの自作したらいいやん!」

「ムラキさん、こんなのピンポンチ買ってきて、自分で樹脂に穴あけたら完成じゃん!」

そうですね。まぁ、特許とってられているのでそれで商売したら間違いなく警告文来ますけど、作ろうと思えば作れます。
ですが、こちらの品は市販のピンポンチよりも短く作られています。これによりカシメを外す際にピンが曲がる可能性を低くしてくれています。このカシメ外しのピンポンチはあくまでカシメやホックを外す専用で作られています。ちなみに、ピンポンチの先端って焼きが入っていますので、きれいに切り落とすのはめんどくさいですよ。

土台となる樹脂に穴をあけるのはボール盤があればそれほど難しくないのですが、「ホックやカシメごとに最適な穴のサイズを調べ、それを1つ1つ開ける。」「穴は1つ1つ面取りする」「樹脂もそれなりに固く粘り気のあるものを使っているのでそれをどこかで手配する」 ここらはめんどくさいですね。

さて、上記の点を自分で全部クリアーする費用と時間を考えると2700円はそれほど高いとは私は思わないんじゃよねぇ。

「それは確かにそうですね。買います!」

というやり取りが昔ありました。

この動画は自分で作ったのに全く作った記憶がないなぁ。。

・カシメやホックを100個以上床にひっくり返したときに炸裂する「マグネットキャッチャー」

1回くらいあると思いますが、カシメやホックをひっくり返したことはないでしょうか?その際に便利なのがこのマグネットキャッチャー。
そこそこ強力な磁石なのですが、手元のハンドルを引っ張ると磁石が離れてくっついたものが落ちます。
これを使うとひっくり返したカシメやホックの回収にとても便利です。
ミニカシメ1個を落とした際、1つだけ拾うのはなにげにめんどくさいです。なんせ大きさが2mmですから。そんなときにこの品があると「あぁ買ってて良かった!」と思うこと間違いなしです。

最近はホックを1つ、針1本落としただけでもこの工具で拾います。

「そんなの手持ちの磁石でいいじゃん」

それがね、使ってみたらわかると思うんだけど、効率が全然違うんですわ。手元のレバーを引くと磁力がなくなり、ポトッと落ちる。これが素晴らしい。
ホッチキスや釘ネジ、針1本の回収などにも便利ですので、何かものづくりする人は持っておいて損はなしです。

欠点としては鉄しかくっつかないということです。真鍮製のホックやカシメには効きませんね。

こちらはフェニックスでは取扱ありませんが、結構知られていない工具ですので紹介しておきます。近場にアストロプロダクツという工具チェーン店がある方はラッキー。送料かからないので安いです。

マグネットキャッチャー以外にも「ハンドマグネット」などの名前で販売されています。カシメやホックなどの軽量金属がメインの革業界は上記のミニでも十分です。

革の表面付着したゴムのりや白ボンドを除去出来る「ペーストリムーバー」

今回イチオシの品。

ペーストリムーバー 100㏄ – ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

こちらの品、カービングの際にペースト染料を拭いとるための薬品です。従来は歯ブラシや筆でペースト染料を刷り込んで、乾燥する前に凸凹の凸部分に付着した色を拭い取ります。
が、このペーストリムーバーで湿らせたあとに拭い取ると凸部分は拭い取り、凹部分はしっかりと色が残る、という薬剤です。

考え方としては「革の表面に付着した油的なものや薬品、染料、接着剤などを拭い取るけど、革の染料やクリア保護を落とさない」というものです。
例えば革に付着した上記の汚れなどはシンナーやアセトンなどを使えば汚れを除去してくれます。ですが、染料仕上げの革にシンナーアセトンを使うと革の染料も落としてしまいます。

「アセトンほど強力じゃないので革の染料を落とさない。でも、付着した汚れは落とすよ」という微妙なゾーンに存在するのがこのペーストリムーバーなわけです。

「どらえもーん!
染料仕上げの革の表面についたゴム糊を除去しようとシンナー使ったら染料も落ちたよ」

だから私はドラえもんじゃなくて「自力でどうにかする」キテレツ派だってぇのに。。
シンナーなんて使うからだよ。顔料仕上げの革でもシンナーは溶かすのに染料なんてそりゃ色が薄くなりますわ。

で、そんなときにこのペーストリムーバー!

こいつの偉大なところは革の表面に付着した汚れや異物を除去してくれるけれども、革の染料にはそれほど影響を及ぼしにくい、という”弱い”揮発性の汚れ落としです。

過去に使って便利だったのは下記のもの

・いわずもがなのペースト染料
・SEIWAのファブリエ。型押し革に刷り込んで凸部分のみをペーストリムーバーで落とし、凹部分だけに色を残した加工革を作りました。>個人的な革実験。ゴジラの革を作ってみる | 本日は革日和♪
・革に付着したゴムのり
・白ボンド…革の表面をくすませた場合も除去可能。これはものすごく偉大。
・両面テープのネバつき
・染色する前に使うことで革の目に見えない油汚れを除去するので染色しやすくなります。

注意点

弱い、といっても何度もゴシゴシこすると革の表面の染料を落とします。
また、すべての染料革にばっちり!ということもありえません。色々な仕上げ加工がありますので、このリムーバーで全部汚れは落ちるし、染料革の色は大人祭、なんて保障はしません、できません。

何かを作り、販売する前に一吹きしたら汚れおちます。量産の方などはお守りとして1本持っておくと安心感違いますよ。

コバがはみ出したときに便利な「カスタムクリーナー」

カスタムクリーナー – ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

革の吟面にはみ出たカスタム・サーマルコート・イリス、などのコバ仕上げ剤を溶かして落とします。

使い方は綿棒やコットンではみ出た部分にちょんちょんと塗る。しばらく放置して拭ってみましょう。
如実に一発できれいに!というほどではありませんが、コバを落としやすくなります。
上記のペーストリムーバーよりも強い薬品となりますのでゴシゴシとこすると革の吟面の塗料染料を落としてしまいます。

「どらえも~ん~!コバの汚れが付着して全品返品、と言われちゃったよぅ!」

はい、そんなときはこのカスタムクリーナー!本番チャレンジする前に目立たない場所で練習してからじゃないと二次被害出るから気をつけてね!

数日後

「いや、ほんとにマジで助かりました!最悪作り直しでしたよ ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

汚れ除去だけど、狙った場所のゴムのり除去機能が素晴らしい「ラブラブクリーナー」


ラブラブクリーナー – ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

コロンブスが出しているゴムのりや汚れを付着させて落とすためのクリーナー。ぶっちゃけゴムのりの塊と思って間違いないです。
用途ははみ出たゴムのりなどを落とす際に使います。

「じゃぁわざわざ買わなくてもゴムのり固めたらいいやん」

それがね、この製品のように四角形で角がきちんと出ているのが大変便利なときがミスったときにたまにあるんだよ。

上記カスタムクリーナーと併用すると楽チン度が多少アップします。はみ出たコバに綿棒でカスタムクリーナー塗布>しばし放置してからラブラブクリーナーでこそげ取る、というのは便利です。
ゴムのりに限らず、汚れなどの除去にも便利ですよ。

定規で長距離をまっすぐ裁断する際にズレを防いでくれる「定規滑り止めシール」

年に何度かクラフト社さんがやってくれる「値段設定ミスって安くしすぎじゃねぇ?真剣に紹介blog書いて売れても大して利益ないんだよなぁ」という工具です。400円ちょいだぜ、これ。(・д・)チッ

いや、これはすごいです。私など20cm、30cm、1,8mの定規代わりに使っている鉄の棒にまで張りました。

分厚い革だろうが薄い革だろうが、定規で切る際にこれを張っていると安心感が違います。
これ張っておくと「30cmをほそ~~~~く切るんだけど、最後付近でグニャンとなった!。・゚・(ノД`)・゚・。」というケースは減ります。

定規滑り止めシール、と言っていますが、要は「片面が粘着シール、片面が滑り止め」というものですので、、、

・ビンをよく滑り落とすならば瓶の側面に張っておく
・スマホに張っておく
・車のダッシュボードに張っておくと小物が滑り落ちづらくなる
・カッターや革包丁の柄部分に貼ることで滑りをなくし、力の伝達を良くする。のこぎりなんかにはすごく威力高い。
・タッセルのように「細く均等に長く切るパーツ」が多数ある、という場合には効果抜群だ!
・本をスキャンする”自炊”をしている人ならば本を裁断する際に便利です。

など応用性が非常に高いです。「定規滑り止めシール」じゃなくて「滑り止めシール」というネーミングで良かったんちゃうかなぁ。。でも定規滑り止め、と書くから意図は伝わりやすいか。

滑り止め部分は永遠には持ちませんので滑りが良くなったら張り替えてください。「革に限らずクラフトやっている人ならば1枚買って色々試したほうがいいよ」とおすすめしますわ。

滑り止め・固定ってすごく大事

工作する時に重要なのは「どれだけ素材をきっちりと固定して、加える力をロスなく素材に伝えるか」だと思っています。

滑り止めは「工具と手の間のロスをなくす」という考え方です。革包丁に貼るといいよ、というのは体験したらわかります。革包丁と手が一体になります。あなたの力は手>包丁の柄>刃先に伝わるのではなく、「あなたの力は手から刃先に直接伝わる」ようになります。ロスが減ります。

時短工具は自分の時給を換算して考えられる人ならば買っておいたほうがいい

時短工具はあくまで「時間を短くする工具」でしかありません。私のように「私の時給は~~円で設定しているのに、なんでカシメ200個ぶちまけて全部拾うのに10分も捨てなきゃいけないねん!」「定規で切る際に最後ぐにょん、となった!また切り直しかよ!」とイライラする人にはお勧めです。

「自分はミスしないぜ!」「時間はあるから、お金のほうが大事」という方にはいらない工具ですね。

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