職人技の1から10がわかる。スタジオタック新刊『一流サンプル職人が教える最高級ブランドバッグの仕立て技術』がすごい


お久しぶりです。小柳です。

普段は裏方なので、パソコンをカチカチしています。

今回はスタジオタックさんから出た新刊のお知らせです。

その名も

一流サンプル職人が教える最高級ブランドバッグの仕立て技術

出版までに1年以上費やされた本書籍は、現役の職人の池田氏の技術が持て余すことなく詰め込まれていると言っても過言ではありません。

■サンプル職人って?

デザイナーのデザインを元に、材料・設計・製作工程・細部の仕様 etc… をプランニングして、量産第一号のテンプレートとなる作品(サンプル)を請け負う職人です。

依頼されたデザインを製作できるだけではありません。
コスト感や量産に向いている工程も提案します。
「この技術を入れるにはこれくらいの手間と時間とコストがかかるなあ」と技術の他に様々な知識に精通していることが最低条件です。
サンプル製作後のコストも見越して…ということですね!

この中の一流となると…。すごさが伝わりますでしょうか。

 

■内容について

一流サンプル職人が教えるシリーズの新刊です。

過去書籍

・『一流サンプル職人が教える 本格革財布の仕立て方

菊寄せやへり返しなどの技法を用いて箱マチ小銭入れやラウンドファスナー束入れを解説しています。

紹介BLOGはこちら
スタッフKの『コレ、ええで』#008【一流サンプル職人が教える 本格革小物の仕立て方】~職人技術の解体新書~

今回の書籍は、どちらかというと一点物のオーダー品に近い、手間を惜しまず細部に至るまで精巧に作り込んだ “作り方” が掲載されています。

表紙にも載っている2つのバッグです。
どちらもフォーマルなきれいなバッグですね。

…さらっと出てきました。この3文字 “作り方”

本書籍では、この “作り方” について深く深く探求した池田氏の長年培ってきた技術がこれでもかというくらいに詰め込まれています。

密な設計、型紙の工夫、効率的な手順、精巧な漉きや芯材による素材のコントロール、デザインと機能性のバランス、美しい立体と曲線の出し方、めりはりをつけた補強による耐久性の向上…!!!!

(正直、この情報で3500円は安いと思います)

これだけの情報をバラバラに手に入れるだけでも時間と労力がかかりそうです。
というか、かかります。

 

■目次とページ写真

2 はじめに

6 作品(A) 2WAYショルダートートバッグ

8 作品(B) ブガッティ型ファスナーバッグ

10 この本の基礎知識とテクニック

10 漉きの使い分け

12 接着剤

13 ヘリ返しの基本

14 素材① 革 / 素材② 裏地

15 素材③ 芯材 / 素材④ ミシン糸

16 ミシンの種類 / ミシン針の種類

17 ミシンの押さえ / 糸の始末

18 補強の概念 / コバ仕上げの方法

19 高級ブランドバッグの仕立て技術

20 作品(A) 2WAYショルダートートバッグ

22 構造と製作手順

26 パーツ一覧

32 型紙一覧

34 製作工程

117 オプションパーツ

118 天マチファスナー

129 マグネットフラップ

140 芯なし玉ぶち

114 作品(B) ブガッティ型ファスナーバッグ

146 構造と製作手順

150 パーツ一覧

156 型紙一覧

158 製作工程

239 型 紙

278 監修者紹介 池田耕平氏 -Aterier K.I.-

と、かなり盛りだくさんの内容です。

前回のシリーズと一回りほどページ数が増えて見た目もたくましくなっております。

太い…! 宝(情報)の厚みです!

 

■こんな人におすすめ

まずは

・これから細部までこだわったバッグを作りたいという方。

こちらの方はかなりドンピシャな内容となっております。

または

・これから製品としてのバッグ販売を考えている方。

どのような工程が合って、自分が望む商品になにが必要でなにが省略できるのかが明確にわかります。

・普段リペアを行っている方

商品をばらしただけではわかりにくい工程のヒントやこれからの糧となるでしょう。

 

■読んでみた感想

はじめの印象は、え?厚っ!でした。

普段本を読まない人間なので、正直少し躊躇しました…(笑)

しかし、読んでいくと…。

本当に読者のことを考えている本だと感じました。内容が濃いのに読みやすい。
始めの数ページの基礎知識ページだけでもかなりタメになります。

個人的になにか製作する際に、ほぼ補強テープ等を利用するので「補強の概念」の節がパッ見て気になりました。
(もともと理系だったので、概念ってフレーズに惹かれているのもあるかも…。)

図も分解された図から、組み立てる流れのイラストがあります。

なによりも解説がかなり細かい!!そりゃ1年かかるな…これは…。

という、どこの工程も解説の妥協が一切ありません。

1つ1つの工程にちゃんと写真やポイントも載っていて、お世辞抜きで本当に感動しました。

 

■まとめ

こちらの本は、おそらく見る人を選ぶ本だと見た目と厚さ的に思われてしまいそうです。

ですが、それが本当にもったいない

以下の文章は公式サイトからの紹介文の引用ですが、こちらの文章を読んでワクワクした方は買って損はないと思います。

『バッグを中心とした革製品はすべて、プロによって、最高の技術をもって作られている、と思われがちだが、実は違う。
プロがゆえにコストや時間、生産効率の向上、さらには作る職人の専門性の偏りなど、さまざまな制約から、簡易的な仕様を選んでいる。
『最高のバッグ』を生み出すひとつの道は、そういった商売上の制約を超越して、品質を重視した製品をリリースできる、いわゆる高級ブランドの販売戦略だ。
ブランドでは、製造の過程がそれぞれの専門家となる職人に分業されるため、製品としては最高峰と言えるレベルを維持できる。
しかしそれでも、製品である以上はコストや生産効率などの制約が存在する。
それでは、高級ブランドレベルの知識と技術を持ったサンプル職人・池田氏が、そういった制約を取り払い、デザイン、フォルム、耐久性、全体の雰囲気から細部の作り込みまで気を配り、クオリティ重視のバッグを作ると、どうなるか。
本誌は、その結果として完成した2種のバッグの作り方を解説する。

(引用元:https://atelier-ki.com/blog/book20220212/

前述でも申し上げましたが、これだけの情報をバラバラに自分の力で集めた場合に何年かかるのか…。

読んだ方は、思うでしょう。
これが1冊で済んでしまうのか…!

 

店頭にサンプルも置いてありますので、お気軽に立ち読みしてください。

では、小柳でした~!

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