やっとこのブログが書けてホッとしております。
革担当のよこいでございます。
革担当ですので普段は革を担いで西へ東へ〜
ええ革探して西へ東へ〜
そんな日々を過ごしていますが、今日は革以外のお話を1つ。
先日より販売を開始したSince EDGERという工具について
お話し致します。
目次
そもそもSince EDGERってなによ?
この工具について話すと少し長くなってしまうのですが、
まずこのSince EDGERについて説明をさせて頂きます。
これがSince EDGER。
形は昔からあるフレンチエッジャーとよく似た工具ですが、
大きく違うのが、刃がL字についています。
刃がL字に付いていることで直角に革を削ることが出来ます。
こんな感じ。削れる幅は6mmで、2mmの厚みまでは一度で削ることが出来ます。
で、どういったときに便利なの?
非常に見難い写真で申しわけないのですが、ステッチラインが1段沈んでいるのが
お分かり頂けますでしょうか?(ステッチラインが粗いのはご愛嬌で)
こちら、縫い代を3ミリで取っていますが、
Since EDGERで床革を約4.5ミリ幅で削っております。
床を削り、捻で押さえることで写真のようにステッチを1段沈ませることが出来ます。
見た目も良いですし、糸が摩耗に晒される程度も減るので耐久性にも
良い影響がありそうです。
もちろん、通常のヘリ漉き用としても有用な工具で、
逆になんで今まで無かったんだろう〜?とも思ってしまいます。
ホントに手前味噌ながら便利な工具だと思います。はい。
Since EDGERと出会ったキッカケ
で、ここからが大事なお話です。
この工具と出会ったキッカケです。
少し長くなりますが…
作り手ならば誰しも自分の理想を叶える工具や、
より美しく仕上げることが出来る工具を渇望しているかと思います。
私、よこいもそのクチで、Phoenixの革担当をしながらも
日々、作り手として精進しております。
常に革材料や工具に対してアンテナを張りながら、
Phoenixのお客様がどういった物が必要とされているか、を
作り手目線で探しております。
インターネットで探してみたり、
職人さんの作業場へお邪魔したり、
お客様の意見を色々お聞きしたり。
色々見聞する中で、その出会いはありました。
場所は中国・北京のとあるショップでした。
中国・北京。
そう。
言ってしまうと、このSince EDGERは
Made in CHINA、中国製です。
質的なお話
中国製と書くと非常に心象が悪くなってしまう
というのは重々承知しております。
中国製と明言してしまうことに抵抗があったのも事実です。
でも言おうと決めました。
もちろん理由があります。
普段から我々Phoenixはお客様にご満足頂くことを第一としながらも、
Phoenixらしさを失わないようなラインナップを追求しております。
それはタンニンなめしを中心とした、元厚物問屋としての誇り。
各担当者が自らの足や目で選別した金具、工具。
それらをお客様に紹介するスタンス。
人や時代が代わろうとも、
そういった部分がお客様に支持していただいてる
Phoenixのコアだと考えております。
そういった部分をきちんと考えた上で、
今回はこの中国製である工具を取扱おうと決めました。
その理由は2つ。
1つは、この工具を使って頂ければご理解頂けるかと思います。
その工具としての利便性と質。
刃物としての切れ味や用いたときの仕上がりの美しさは
私よこいが北京にて実際試し、
その場で惚れ込んで自分用に1本購入してきました。(自腹で(笑))
特に、今まではヘリ漉き機がなければ難しかった直角でヘリ漉きが出来ることは
内縫いで物を作る方にとっては重宝する工具になるのではないでしょうか
Since という人柄
そして、もう1つの理由が決め手となりました。
このSince EDGERを扱うにあたり、Sinceの代表者と交流を持つようになりました。
彼には内緒でこのブログを書いているので、名前を出すとアレなのでAさんとしておきます。
やはりこのSince EDGERを取扱うか否かの話の中で、私の心の中には
『中国製』という後ろめたさを払拭できないモヤモヤがありました。
質は良い、便利も良い。
けれどもPhoenixのお客様にこの『中国製』というイメージを飛び越えて
訴えかけることが出来るだろうか・・・
そんな私の心を察してか、Aさんは私にこう話しました
Aさん「横井さん、『中国製』のイメージが悪いことは私も分かっています。
レザークラフトの道具や材料も中国製のものは粗雑なものが多いです。」
***「そういった安価なアジア製の革や中国製の工具や資材を売っている店も多く、
クラフト人口が増えれば増える程、そういった粗雑なものを扱う人の割合は増えて行くでしょう」
***「けれども、そういった先に中国のクラフト業界の発展はあるでしょうか?
モノ作りをするのに粗雑な材料や工具を使っていて良いモノが生み出せますか?
現に今も中国で活躍されている一流と呼ばれるクラフターは日本製やアメリカ製の工具や材料を使っています。彼らは知っているのです。」
***「私は中国のレザークラフトの発展にはそれらの自給が不可欠だと思っています。
少なくとも、粗悪な材料や工具で満足してしまっていてはいけない」
33歳の私よりも若いAさんが自国のクラフト業界発展の為にこんなに熱い想いを持っていることにたいそう驚きました。
もちろんビジネスが背景にあるのでしょうが、それでも彼の想いに心を打たれました。
そして彼は1軒、工具製造の為に工場を買いました。
私は彼は本気だと感じました。そして決めました。
既に買ってくれた人に対して
このブログをアップするのに少し時間がかかってしまい、
商品のリリースが先になってしまいました。
結果として『中国製』ということを明言する前にこの工具を購入いただいたお客様が
たくさんいらっしゃいます。
本当にごめんなさい。
もしこの『中国製』という部分でこの工具を受け付けない、という方がいらっしゃいましたら
返品にて対応させて頂きますので、info@l-phoenix.jpまでご連絡下さいませ。
繰り返しになりますが、
私、よこいはこの『中国製』という言葉を乗り越えて、
この工具を取扱う決意を致しました。それだけ自信がある工具です。
その点はご理解頂ければと想います。
これからSince EDGERを買おうと思っているお客様へ
散々この工具を褒めちぎりましたが、
使いこなすには修練が必要です。
一定の厚さで一定の幅で削ろうと思うとそれなりの慣れが必要です。
また、彫刻刀のような刃が付いているので、ケガに要注意です。
ちょっと扱うのが大変な工具ですが、
一度慣れてしまうと、とっても便利な工具です。
Phoenixの店頭に見本がございますので、
是非一度お試しあれ。
購入はこちらから
https://phoenix-shop.jp/products/detail/113131911
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時々、楽しく見させて頂いてます、
家ですく際いつも上手くいかず困っていましたが、この工具を使うと上手くいきそうですね。実はいま、レザークラフトを教えてくださってる方は中国の青島出身の方で中国の工具のことはよくお聞きしていますが、結局のところ良いものはよい、悪いものは悪いでそれは日本でもあることだと思います。
一度、実際にみたいのです。
す、すいません、コメント見落としていました。
>家ですく際いつも上手くいかず困っていましたが、この工具を使うと上手くいきそうですね。
端部分を薄くするのには適していますが、斜め漉きは苦手です。中漉きはやりよう次第かな、と。
>結局のところ良いものはよい、悪いものは悪いでそれは日本でもあることだと思います。
いや、もうほんとにそうです。日本製だから良い、中国製だから悪い、とも限りません。
今後も当社としては「良い」品を紹介取り扱いしていきたいと思います。
店頭で試すことも可能です。イベント時には持っていくこともありますので、もし当社がイベントに出る際は「ぜひこれ持ってきて!」など遠慮なく催促してくださいね。
はじめてコメントします。
こちらの工具やフレンチエッジャーが気になっています。そこで、この工具は使っていくうちに切れなくなって来るかと思うのですが、その際のお手入れ(研ぎ)などってどうするのでしょうか?
こんにちは。Phoenixです。
こちら、道具の外側にあたる部分に関しては、
通常の刃物と同様砥石や革砥でお手入れして頂き、
その際に発生する内側のバリをとる専用の簡易道具がございます。
https://l-phoenix.shop-pro.jp/?pid=130811914
この棒に床革などを張り付け、ルージュスティックを刷り込んでいただければ、
バリ取りの道具としてお使いいただけます。
かなり硬い鋼材を使った刃物ですので、
切れなくなる前にこまめに手入れして頂く事をお勧めします。