床処理をなめていると腱鞘炎になるよ、という話から商品アピールするblog


吉川「ムラキさん、最近イベントのお知らせBlogばっかりやけど、ムラキさんの商品解説blogを待ってる作り手さん多いと思うんですよね〜」
「そんな叩けばblog書けるみたいに言われてもなぁ┐(´∀`)┌
まぁ、作り手さんとフェニックスのお役に立てるなら一肌脱ぎますか」ってことで…

今日のあらすじは

・レザクラを始める際に節約したかったらガラス板をケチろう
・でもガラス板って便利なのよ。欠点あるけどね
・ガラス板で床処理バンバンしていると腱鞘炎になるよ
・腱鞘炎なめると怖いよコワイヨ
・そこで便利なこちらの工具がオススメよ!

というあざとい流れで書いていきましょう。

 

で、その中でも「安く済ませたいならば100円均一やホームセンターのこの工具で代用利くからそっちを買ってね。
でもお金たまったらいつか買ってね!」という工具としてガラス板があります。

 

ガラス板 – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP

この工具の主要な使い方は主に2つ。

1つ目 絶対的に平面が維持されている&固いので革を漉く・削ぐ際に使う
2つ目 タンニン革の裏面である床面をトコノール・トコフィニッシュでツルツルにする

ともに重要な役目ですのでレザークラフトをする際には、いつかは、必ず購入することになります。
1つ目の「平面であり固い」というのはとても重要です。革を削ぐ・漉く際にはとても便利です。

 「なんだ、それならガラスの板を買えばいいんじゃないの?窓用の?」と思いがちですが、レザークラフト用の硝子板は厚く作られています。
その厚みは10mm。このような厚みの窓用ガラス板は早々売っていません。

厚くなればなるほど、それだけ力のロスは減り、作用反作用も強く働きます。

ただ、2つ目の使い方、革の床面をつるつるにしたいならば太いガラスの棒、ウッドスリッカー、ガラスの瓶などで代用ができます。

個人的に使っているのは結晶の棒です。
以前タンニン革をツルツルにするグレージングの工程で使われているのがメノウの棒と知っていたので使いやすいのかな、と思い購入しました。

(確か石ふしぎ発見展で2000円弱だったかな)

要はこういう「つるつるな棒」でいいわけです。コーヒーの瓶やビール瓶の平面な部分でも代用できるわけです。

 

阪急百貨店メンズ館で新喜皮革さんのデモンストレーションを見てきたpart1 グレージング: レザークラフト・フェニックス

 

 「じゃぁ、その結晶の棒で床面はツルツルに出来たの?」

さて、実際に試してみると短時間で使うには使いづらかったですわ┐(´∀`)┌
グレージングの作業でメノウの棒が使われていたのは機械に設置する際に棒状のほうが都合がいいから、という理由です。

ガラスってのは難儀な素材で機械や工具として使うには使いづらいのです。穴をあけるだけで一苦労、それを固定しようとすると割れることが考えられる。硬くてモロイ素材ってのは難しいのですわ。

あの硬さと平面が維持されているのはとても便利な素材なのですが、工具としては使いづらいわけで。

メノウの板やブロックではダメで、棒状に意味があったというわけですな。
手で使う以上は棒状よりも板のほうが使いやすいですわ。

 結論1
 ・瓶やガラス棒で床面はツルツルにできるが、使いやすいのはガラス板

 これが「どうせいつかは買うよ、ガラス板。でも無理に最初に買わなくてもいいんちゃう?」という話です。
こういうコーヒーの瓶の角でコシコシと磨くのも手です。

参考写真:100gも150gも同じ値段なの? すーさんの「感動、興奮、新発見」/ウェブリブログ

さて、発展の話をしましょう。

床面を延々とツルツルにすると腱鞘炎になるよ

 革一枚の床面をツルツルにしたい!革のパーツ多数の床面をツルツルにしたい!という時どんな問題があるか、という話。

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ガラス板で床面をツルツルにしたい場合は写真のように板を保持します。

この持ち方ですが、親指で保持し、人差し指・中指・薬指でガラス板先端に力を加える。
これによりガラス板先端エッジに力が与えられ、革の床面をツルツルにします。

が、この持ち方がクセモノで肘から手首の内側の筋肉を酷使します。
実際に革一枚をガラス板で延々と床処理した人はわかると思いますが、手首の筋肉がクタクタになったと思います。

ガラス板で床処理を続けていくと手首の筋肉を酷使し、腱鞘炎をまねきます。
革1枚や延々とパーツを床処理するならばガラス板よりも棒状のモノのほうがまたマシです。

道具の基本は「重く硬くデカイほうがいい」ことだと思っています。
デカイほうが保持しやすくなり、重いほうが安定性が増し、固いほうが力のロスがなくなるからです。

ガラス板による床処理を延々とやると腱鞘炎になる根本的な理由は無茶な持ち方をしているからです。
ガラス板を保持するのに使っている部位は「手」というよりも「指」です。
それも親指を支持として人差し指・中指・薬指の指先で保持しています。そりゃあぁた腱鞘炎になって当然です。

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それに対してガラス瓶や結晶の棒の場合は「手でつかむように保持」します。
正直ガラス板よりも使いづらいですが、保持がしやすい、ということで長時間力が加えやすくなっています。

ガラス板=保持しづらいがテコの力も加わることで先端に力がグッと入る
棒状のもの=保持しやすいが力が加わりづらいので作業時間がかかってしまう

ってことですわ。

結論2 長時間床処理を行うならば保持しやすい形状じゃないと腱鞘炎の第一歩

さて、こっから宣伝タイムです( ´∀`)bグッ!

 ウッドブロックは偉大だ

nijigsmitool製 床磨き用ウッドブロック – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP

nijigamitoolさんが作っているウッドブロックは固い木のブロックに保持用の柄を付けただけの道具です。

が、これが素晴らしい。

・柄が付いていることで保持しやすくなっている。
・垂直に力を加えるために手全体を使える
・腰を使って水平に力を移動できる
・ガラス板に比べて設置面の面積が広いので平面を出しやすい

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床処理をする際に指先と腕だけではなく、体全体や腰を使うことができるようになります。
大変便利な工具ですが、必須の道具ではありません。

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こういう人にオススメ!

 ・床処理を延々とする人
 ・腱鞘炎を恐れる人

具体的に言うとカービングをする人やタンニン革で床面をツルツルにすることが好きな人。
特にカービングは革業界ではトップクラスに腱鞘炎をまねきます。
腱鞘炎は指先や手首を酷使することが原因です。

本当は怖い腱鞘炎 : いつか遠い空の向こうに

指先や手首ではなく腕全体、肩や腰に負荷を分散させることがとても重要なわけで。
少しでも腱鞘炎になりたくない人にはウッドブロックをオススメします。
腱鞘炎になると完治は難しく、筋肉の鎧をまとう・鍼治療に通う、などがあり、手術もありえます。

腱鞘炎~手術

腱鞘炎の基本は「腱鞘炎にかからないように気をつける!」です。
少しでも腱鞘炎にならないように気を使ってくださいな。

 さらにあざとい宣伝:バリーキングのモウルとか、木槌とか

さらにあざとい宣伝になりますが、カービングを行う人はホームセンターの木槌や金槌よりもレザークラフト用の木槌、レザークラフト用の木槌よりもモウルを使うことをオススメします。フェニックス店頭で実際に使えますのでまた使ってみてください。カービングがしやすい!ということがわかるかと思います。

《道具》木槌の違い: レザークラフト・フェニックス

動画で見よう!音と振動対策:ケヤキの塊を足の上に | phoenix blog

バリーキングのモウルを使うとどれだけ効率が良くなるかはまた下の動画を御覧ください。

バリーキングのモウルはちょっと高いなぁ、という人には協進エルのモウルもオススメです。
柄の部分が革製かプラスチック製か、の違いです。
プロ・ラウンドモール – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP

バリーキングモウル 4種 – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP

普段私はこの木槌使っています。
太鼓型木槌はいいですよ

木槌 – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP

2014/10/01 追記

「このウッドブロックを使って革のグレージング(タンニン系の革などの表面をガラスやメノウ棒でゴシゴシとこすって光沢を出す)出来ないんですかねぇ?」

無理ちゃうかな。それだったらガラス板のほうがまだ出来るはず

「なしてですか??」

接地面積の違いよ。
ガラス板だと革に接する面積が1cm×10cmだとすると10平方センチ。
ウッドブロックだと6cm×6cmだとすると36平方センチ。
ウッドブロックは良くも悪くも接地面積がでかい。力が分散されちゃう。
ガラス板の10平方センチに力を集中させたほうが革は強くこすられるからその分光沢が出る、と思うわよ~

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