【革】カッチカチのオークバークベンズの取り扱いを始めました


こんにちは。変な天気ですね〜。シトシト雨(糸雨(しう)と言うらしいです)かと思ったら、
空が真っ暗になって滝のような雨(鬼雨(きう)と言うらしいです)になって。

雨が多い季節になり革屋としては憂鬱な気分になります。革が濡れてしまわないよう梱包しなきゃ!

さて、店頭などでお問い合わせの多かった革の取り扱いを始めました。

オークバークベンズという靴底用の革です

商品名:オークバークベンズ
製 造:イタリア
なめし:タンニンなめし(底用)
厚 み:5.0mm前後
サイズ:110DS前後
単 価:¥275/DS(税込)
焼印率:0%
カット:不可

どんな革なのか。

なぜこのタイミングでこの革なのか、をご説明します

 

Phoenixの底革ラインナップ

 

Phoenixは浪速屋工業という会社のお店なんですが、その浪速屋工業は昭和元年から靴底などの加工を生業としていた会社ということもあり、底用の革はPhoenixでも得意とする革の一つです。

そのラインナップとして

国産底ベンズ

国内有数のピット鞣を持つ、姫路のタンナー【昭南皮革】さんの底用ベンズです。

昭南皮革さんはPhoenixでも昭南本ヌメや昭南多脂ベンズなど取り扱い品目の多いタンナーさんで、
品質はもちろんのこと、製革への徹底したこだわりなど絶対の信頼を置いており、その昭南皮革さんの作る底用ベンズもまごうことなき品質です。

 

エルパソ

 

メキシコにある圧倒的な規模を誇るタンナー、WINY社(ウィニーと読みます)のベンズです。

日産3000枚以上という恐ろしいほどの革をなめすタンナーであり、その積み上げた実績と経験は安定した品質に繋がっています。

Phoenixでは厚みごとにランク分けを行なっており、価格もお手頃となっていますので初心者の方からプロの方まで幅広くご利用いただいている革です。

イタリー底ベンズ

イタリアにあるGI.ELLE.Emma社(ジエレメと読みます)の底用ベンズです。

使用する原皮がとても素晴らしく、渋もしっかりと入っている分カエリも良く、包丁を入れた時の感触もスパッと切れる、高品質な底ベンズです。

非常に緻密な繊維構造となっており、上記2種類よりも硬さがあるので、革の断面も非常に美しいのが特徴です。その分ちょっとお高い革にはなります。

 

なかなか小売しているお店で底革をここまでラインナップしているお店は珍しいのではなかろうか、と自負しておりますが、さらにここに1種類加わりました。

 

ここが違うよオークバークベンズ

他の底革に比べて、褐色が強いのがオークバークの特徴でして主に樫類(オーク類)の樹皮から取れるタンニンを主成分にしています。

日本における、かしわ(槲)、なら(楢)、かし(樫)などquercus 属の樹木の皮で加水分解型の植物タンニン剤に属し、ヨーロッパでの代表的な鞣剤。オーク材の樹皮を粗く粉砕し、水とともに槽に入れて皮を鞣す。オークはバーク(樹皮)だけではなく、木部や実、葉などにもタンニンを多く含み、オークのタンニンエキスとして抽出された物がヨーロッパでは広く使用されていた。現在では樹木の減少とともに使用量も減少している。–出典:皮革用語辞典 https://dictionary.jlia.or.jp/detail.php?id=274

こちらの出典を読むと見えてくるのですが、

ヨーロッパでは広く使用されていた。

と過去形となっており、現在はごく一部のタンナーでしかオークなめし(オークバーク)は行なっていません。

その理由としては、ここからは私の推測ですが、鞣に非常にコストがかかる点があるのではないかと思います。
オークバークの場合、他のタンニン鞣剤に比べ、鞣にかかる時間が長いと聞いています。その分時間をかけて浸透するタンニン成分が革に硬さとコシを与えるとも言えます。
それが唯一無二だからこそ、コストが上がってしまっても今なおオークバークが続けられている理由ではないでしょうか。

 

手製靴にこそ使って欲しい革

 

このオークバークベンズはDS単価250円(税抜)と頭一つ抜きん出て高い革です。

革が約100DSほどですので底パーツとしては大体10足分しか取ることができません。
非常に高価格な靴になってしまいます。

ただしそのDS単価を納得させるだけの硬さ、ハリ・コシ、耐久性がある革ですので、
オーダー靴や手製靴など大切な1足の底としては最もふさわしいベンズではないかと思います。

ただ、めちゃくちゃ硬いので包丁で切り回しするのは大変だと思います。硬さゆえの、というところでご容赦いただければと思います。

 

このタイミングのリリースはどうして?

 

 

少し前から店頭やメールで「オークバークの底ベンズ置いてないですか?」と問い合わせをいただくようになりました。

あまりにその声が多かったので、探し回ったのですがなかなかPhoenixとして取り組める革が見つからず。

海外の革を探してみようにも、コロナ禍でレザーの展示会になかなか行けない。。。orz

そんな中やっと見つかったのがこのオークバークベンズです。

あ、そうそう。このベンズはイタリアのタンナーさんの革です。

コロナも落ち着いて、安定的に革を供給できるような目処がつきましたので、リリースさせていただきました。お問合せいただいたお客様、お待たせいたしました。

 

最初は1枚革の販売のみとさせていただきます

 

お客様のご要望が多くなれば他の底ベンズ同様に一足裁ちもやろうと思いますが、最初はまず1枚革で取り組みます。1足裁ちをご希望の場合は要望をたくさん出してください。「欲しい時に欲しい分だけPhoenix」という隠れスローガンを持っていますので、お客様の声がたくさん集まればやります。

 

どんな革なのか見てみたい〜!漉いてほしい〜!

店頭に在庫している革ですので、ご興味あればスタッフにお声がけください。革は見て触らんとわからんと思います。

あと、硬い革なので漉き加工が大変な革です。外注の専門業社に依頼しますが、
漉きブレなども起こることが予想されますので、お気をつけください。

 

 

 

 

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