真鍮製のジャンパーホックで裏面が割れるのは “不良品? or 技術の問題?” という話


ある日このような問い合わせをいただきました。

お世話になっております。 以前購入したのですが、7050真鍮ホックの足が、 かしめると割れてしまうのでは足が短すぎる、長すぎるのいずれでしょうか?

こちらは可能性がいくつか考えられるのですが真鍮製ホックは、他の素材のホックと比べてちょっと特殊です。

このblogでは

・ジャンパーホックとバネホックの「使い道や特徴・構造・打ち方注意点について
・真鍮という素材は薄くなると裂けやすいということについて

などを説明しています。

 

結論から先に書いてしまいますが
オチは薄くなる真鍮部分は裂けやすいが、これが原因でホックが外れることはない
そのため不良品でも技術の問題でもなく、真鍮という素材自体の特性の部分が大きい となります。

 

▼結論を先に確認したい方はこちら
[3項:薄い真鍮部分は裂けやすいが、これが原因でホックが外れることはない]

 

●ジャンパーホックってなに?

ジャンパーホックの「使い道や特徴・構造・打ち方注意点

▼商品ページはこちら
ジャンパーホック | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

 

【 使い道や特徴 】

ジャンパーホックの特徴は、後述のバネホックに比べて「留まる力が強力!」です。
「あまり開け閉めしない箇所」や「簡単に外れてほしくない」場所などに使うのに適しています。

トラッカーウォレットやバイカーウォレット、ベルト本体とバックルを固定する部分などによく使われますね。
ジャンパーホックは強い保持力があるのですが、その分開閉しにくくなります。
薄い革や柔らかい革に使うと革が伸びたり破れることもありますので、ご注意ください。

また、バネホックのようにバネの部分が折れて壊れるということがないので、金具自体の耐久性もジャンパーホックが優勢です。

 

【 構造 】

上記写真にあるように足部分のパイプをクルッとめくれ上がらせることで固定する、という構造になっています。

「パイプを外側に均一にめくれ上がらせる」のが難しく、手で打つと失敗しがちです…(;_;)
なのでレザークラフトを始めたときのジャンパーホック打ち損じは、あるあるになりつつありますね。

 

【 打ち方の注意点 】

ジャンパーホックをキレイに打ちたいならば、、、

・手でしっかりと工具を保持する
・土台が重要!机の真ん中ではなく、机の足の真上など、与えた力がきれいに反射する箇所の上で作業する!
・amazonや格安の工具を使わない!
・最終的にはハンドプレスで止めるのが一番確実で楽!

というのが、注意点とアドバイスです。

 

▼土台の重要性についてのおすすめブログはこちら
土台が弱いとこんにゃくの上で作業している&試してわかる価値の話 | phoenix blog | 1926年創業の革素材問屋のスタッフが、レザークラフトのあれこれを語ります。

 

●じゃあバネホックってなに?

バネホックの「使い道や特徴・構造・打ち方注意点

▼商品ページはこちら
・ホック | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

 

【 使い道や特徴 】

バネホックは「開閉のしやすさがほしい場所で使う」や「あとあと交換修理できるような箇所で使う」のがおすすめです。
テコの原理が働きますので軽く外れやすいのが特徴です。

使い道としては「1日1回以上は開閉する鞄やポーチの蓋部分」やブレスレットなどに使われます。
軽く外れやすいからこそ、使いやすいです♪

ただ、その反面「簡単に外れてほしくない!」という箇所に使うには不向きですね。

 

【 構造 】

バネホックの構造のテコの原理って?

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バネホックを横から見た写真ですが、支点となる部分がバネホックのふっくらと膨らんだ部分です。
手で打つとこの膨らみ部分を潰しがちになります。
私は1個だけ打つときでも、めんどくさいですがハンドプレスで装着させます(;・∀・)笑

 

【 打ち方の注意点 】

バネホックをキレイに打ちたいならば、、、

これは、ジャンパーホックと同じです。

・手でしっかりと工具を保持する
・土台が重要!机の真ん中ではなく、机の足の真上など、与えた力がきれいに反射する箇所の上で作業する!
・amazonや格安の工具を使わない!
・最終的にはハンドプレスで止めるのが一番確実!

という、注意点とアドバイスに加えて…

バネホックは構造上「バネ部分の膨らみをふっくらと保持しないと軽く開かない」という繊細な金具なので、手で打つ際は思いっきり叩きつけるのは避けたほうが良いです。

 

▼土台の重要性についてのおすすめブログはこちら
土台が弱いとこんにゃくの上で作業している&試してわかる価値の話 | phoenix blog | 1926年創業の革素材問屋のスタッフが、レザークラフトのあれこれを語ります。

 

●薄い真鍮部分は裂けやすいが、これが原因でホックが外れることはない

さて、今回の相談はジャンパーホック7050の裏面が裂けている、ということでした。
手持ちの真鍮製ジャンパーホックを打ってみると、、、
(ハンドプレスで装着しました)

亀裂が入った!
このように、一部分だけメリメリと裂けています。
Phoenixでは3サイズ(7050・7060・7070)のジャンパーホックを販売しておりますが、すべてでこの亀裂が入る可能性はあります。

 

他方、ニッケルシルバーのジャンパーホックを打つと、、、

亀裂が入っておらず、キレイですね。
これは打ち方が上手いというわけではなく、ニッケルシルバーとアンティークゴールドは下地が鉄なので、真鍮製に比べると亀裂も入りづらいというわけです。

思いっきり力を込めてやると鉄でも亀裂が入る可能性はあると思います。

 

【重要】裂けているから不良品なの!?

こちら金具屋に聞きました。

金具屋さん「真鍮製のホックでパイプを裏返すもの、、今回のジャンパーホックやハトメ、などですが、基本的に裂けます。裂けないものもありますが、体感6~7割は裂けます。これは不良品、ということではなく、真鍮という素材は薄いと裂けやすいからですね。

これで外れる、という不具合はありません。もし外れた!という場合はそもそも装着がしっかりできていない可能性が高いです。この裂けている部分が原因でホック金具が外れた、という事例はフェニックスさんに卸しているホックではあまり聞いたことないです。」

とのことです。

 

外れてしまった場合は、革の厚みや革の柔らかさをもう一度確認しましょう!

●商品紹介

ジャンパーホック

ジャンパーホック | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

フェニックスで売っているジャンパーホックは国産品となります。
ホックの類は「ホックを買った店舗で、そのホックを打つ工具を買う」というのが鉄則です。見た目が同じ様に見えても微妙に違うんですよ、ホックは。。。

 

《金具》謎のジャンパードットホックがつけられない>>ホックボタンに関する驚く話: レザークラフト・フェニックス

ジャンパーホック用 各種【打棒】 | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

オールマイティプレート(カシメ・ホック打台) | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

バネホック

・ホック | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

バネホック用 各種【打棒】 | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

オールマイティプレート(カシメ・ホック打台) | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

●結局ハンドプレスが最強なのかもしれない!

金具の装着について、最終的には ハンドプレス×打駒 が最強です。ほんとに。
失敗をほんとにしなくなりますので。

少し値は張りますが、その価値十分にある工具です。
「静音 × 早い × 打ち損じが極めて少ない」 が備わってます。

 

…なんかハンドプレスをおすすめするブログになってしまいそうですね(笑)
それくらいおすすめな工具です。

毎年値上がり傾向にありますので常に今が買い時の商品でもあります。
(ココだけの話。Phoenixもいつ次値上げとなるか全く読めません)

 

▼打つ際のおすすめブログはこちら
ホックがうまく打てない、という場合はハンドプレス買わなきゃいけないのか、と絶望して希望を見出す話 | phoenix blog | 1926年創業の革素材問屋のスタッフが、レザークラフトのあれこれを語ります。

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–PS–最近のスマホカメラの接写機能すごいな!!

これでまだフルパワーじゃないんだよなぁ。すごいな、最近のスマホは(;・∀・)

 

 

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