こんにちは。Phoenixの横井です。
レザークラフトの可能性を信じて、日々日本各地を走り回っております。
レザークラフトってめっちゃ楽しいよ!
さてさて。
そんな横井の在籍するPhoenixですが、この度新しい商品を取り扱い始めました。
日本人の食卓には欠かせない!?魚(鯛)から生まれたフィッシュレザー/ マダイです。
この商品を取り扱うこととなった経緯や担当者の思いをツラツラと書いていきます。ぜひ読んでくださいね。
目次
マダイってどんな革?
まず皆さんご興味があるとすれば、この革がどんな革なのか。「経緯や思いとか別にいいから先に教えておくれ」だと思いますので、まずそこを先に書きますね。
ご覧の通り、魚のウロコ模様が特徴的な革素材です。名実ともに魚の皮から作られた正真正銘本物の『フィッシュ』レザーです。
今回取り扱いを始めたのは魚の中でも日本人に馴染みのある「真鯛」から作られた革です。え?なんで日本人に馴染みがあるかって?だって七福神の1人、エビス様は真鯛持ってますからね。
概要
[編集]
えびすは日本の神で、現在では七福神の一員として日本古来の唯一(その他はインドまたは中国由来)の福の神である。古くから漁業の神でもあり、後に留守神[注釈 1]、さらには商いの神ともされた。夷、戎、胡、蛭子、蝦夷、恵比須、恵比寿、恵美須、恵美寿などとも表記し、えびっさん、えべっさん、おべっさんなどとも呼称される。—出典:wikipedia
なんとも縁起の良さそうな革です。
さて、肝心の革ですが、以下革のスペックです。
高知にある魚専門タンナーOcean Leatherによるマダイの革です。
植物タンニンで鞣した革でマダイ特有の大きなウロコ模様が特徴です(鱗は付いていません)
魚の革はエキゾチックレザーに分類されますが、厚みは薄いものの牛革や馬革など哺乳類と同等に使うことができます。
床革や芯材と併せてご利用ください。
マダイ特有の大きな鱗模様を活かした作品作りにぜひご活用ください。革自体は程よく柔軟性があり、やや艶のある仕上げにしております。
染料を用いているため、魚の革ですが水に濡れると色落ち・色移りしますのでお気をつけください。Ocean Leaaherのフィッシュレザーは
食用に加工される際に発生した廃棄される魚皮をアップサイクルしたレザーです。
地球環境にもやさしいレザーです。ナチュラルカラーは無染色ではなく肌色に染めております。
自分で染色したい!という方はクラストタイプをご利用ください。商品名:マダイ
なめし:タンニンなめし
タイプ:半身
仕上げ:染料仕上げ
厚 み:約0.5mm〜0.6mm前後
大きさ:画像参照
価 格:3,080円 (税込)
カラー:全12色(11色展開+無仕上げクラスト)
焼印率:0%
カット:不可
今までPhoenixで扱っていた革素材とはちょっと毛色の異なる革です。エキゾチックレザーをきっちり在庫して取り扱ったのは今回が初めてだと思います(たぶん)
続いては「なぜこの革をPhoenixが取り扱ったのか、の話です
まさにサステナブル!革はアップサイクル素材です
「何やら高知県で面白い革を作ってる会社があるぞ」
と情報をもらったのが今年の夏。さっそく高知県まで行きました(私はお留守番)
そこは高知市で水産加工業を営んでいる会社でしたが、数年前から
「廃棄される魚の皮がもったいない。これでなんとかできないか?」
と様々な研究や試行錯誤を繰り返し、ついに革として十分に利用できる素材を作り出している会社でした。
社長さんもすごく若い!
今はOEMを中心にフィッシュレザー製品を製造されていますが、もっともっと素材を知ってほしい、という先方さんの思いと、Phoenixの理念(というか私の考え)が見事に噛み合いまして、
この度革素材としての販売をスタートしました。
****
革素材は元来、サステナブルな素材です
なんか、この言い方だと流行に乗っかるようなのであまり好きではないのですが、
元々革は「食肉産業の副産物である皮を利用した」アップサイクル素材です。
廃棄される素材を工夫して使える素材にする。
これは今我々の業界の大ボスでもある皮革産業連合会(JLIA)が提唱するTLAでも大々的に歌われています。
水産加工会社さんが
「皮がもったいない」という発想になってくれたこと。
そしてその皮を自社の努力で革にしてくれたこと。
ほんと敬意しかありません。ありがとう、Ocean Leatherさん!
魚の革だから水に強いよね?!
フィッシュレザーとして販売するにあたり、この点だけは強めに発信せねばいけない、と思ってます。
強くありません。
ご存知の通り、魚の皮膚はウロコで覆われておりますが、当店で取り扱うフィッシュレザーはウロコを「取り除いた状態」であり、特段水に強い、という性質はありません。
また鞣しもタンニンなめしを採用しており、長時間水に曝されると結合の弱いタンニンは架橋が外れ、鞣しの効果が弱まります。
さらに、仕上げにおいて染料を用いているため、色堅牢度は決して高くありません。
なので総じて私たちの判断としては
「魚の革ですが、特段水に強い性質は持ち合わせておりません」
「当店で取り扱っている牛革などと同等、とお考えください」
となります。
魚革って言われても、どう使っていいか・・・
こちら、マダイのブラウンを使って実際に財布に仕立ててもらいました。
色味がちょっと違うのは照明の関係と思ってください。
なかなかのインパクトです。
使い方は特別な対処は不要です。裁断、穴あけ、縫製、コバ仕上げ、いずれも牛革と同等に扱ってもらって大丈夫です。
ただ革の厚み自体は0.5mm〜0.6mmほどなのでかなり薄いです。
この革単独で何かを作ろうとすると、選択肢が狭くなってしまうので、床革などの芯材を活用して工夫する必要はあります。
幸いにも(?)魚革がタンニンなめしなので、タンニンなめしの同系色の床革をベタ貼りすればいいので、そこまでハードルは高くないかな、と思います。コバも磨けるしね。
皆さんの面白いマダイ作品楽しみにしております。
※染色をご自身でやりたい方はナチュラルじゃなくてクラストを買ってください
そうそう、言い忘れです。
商品を写真で見ると、ナチュラルとクラストの違いが全くわかりません。ほぼ同じに見えます。
【こちらがナチュラル】
【こっちがクラスト】
これらの違いは仕上げを行なっているか否か、です。
クラストの方がスッピン未仕上げの状態で、
ナチュラルは肌色に染めて仕上げを施しております。
なので、「肌色の革が欲しいなー」という場合はナチュラルを。
「自分で染めて楽しみたいなー」という方はクラストをお買い求めください。
別にクラストをそのまま染めずに使ってもらっても構いませんが、
汚れやすいので気をつけてください。
過去の関連blog:
- 新たな取り組み【ブルハイドレザー】
- 新しい革【RICCO-リッコ-】を販売開始します!!
- ストーンカシメ 4種×4色販売開始しました
- イタリア製ホック「プリムホック」の取り扱いを始めます。
- 安定した型紙トレースができる!型紙クリップの取り扱いを始めました。