とある日の午後、Phoenix店内にて
「よこいさん、よこいさん。WALDESのファスナー使ってみたいんだけど」
「おお、常連のMさん。いらっしゃい。
やっと使う気になってくれたんですね、WALDES。
ずっと使いたいって言ってましたもんね」
「うん。使いたいとは思ってたんだけど、ファスナーってどうやって注文したらいいかよく分からんくてさ。今もよく分かっとらんのだよ」
「そんなことなら声掛けてくれたらいいのにー。いつでも相談乗りますよ」
「ほなとりあえずどうやったらいいか教えてー」
ということで、今回ファスナーを注文したことがない人に向けて、
少し諄いくらいの説明をいたします。
目次
WALDESファスナーやってます。
Phoenixでは1本からでも受注発注という形でビンテージ復刻ファスナーWALDESをご注文頂けます。
あまり知られてませんが、ホームページから見積りをご依頼頂けます。
よこい「ところでアルバイトのY君、ファスナーについて詳しくない君は
これを見てWALDES注文できる?」
Y「無理っす」
少しは努力しなさい!ヽ( ・∀・)ノ┌┛Σ(ノ `Д´)ノ
ファスナーに明るい人にとっては上記フォームで問題ないようですが、
そうでない方にはハードルが高いようで。。。反省反省。
ファスナーを発注してみよう その1 何が選べる?
ファスナーを発注するには、そもそも選択肢が何なのかを知る必要があります。
むしろ、それさえ分かってしまえばファスナーの発注は簡単です。
1 素材
G(丹銅)Ni(洋白)AL(アルミ)AG(アンチックゴールド)BK(ブラック)の計5種類
特殊ファスナーなどでは一部素材は選択不可となっております。AG,Ni,BKは全てG素材のメッキ違いとなります
2 サイズ
そもそものファスナーのサイズです。このサイズでスライダー、エレメント、テープの大きさが決まります。
3 仕様
ファスナーの種類です。最も一般的な止仕様、カバンなどでよく見られるW仕様、革ジャンなどの衣類で見られるオープン仕様など。大きく分けて4種類あります。
4 止め(オープン)
ファスナーの始めと終わりの部分のパーツです。3(仕様)に則りそれぞれを選ぶことができます。
5 スライダー
ファスナーの一番目立つ部分、ツマミです。
6 テープ色
ファスナーの生地部分です。WALDESではポリエステルと綿でのご用意があり、それぞれ十数種類の色から選べます。
7 長さ
ファスナー自体の長さです。一番間違いが多いのですが、
ここで言う長さは止め(オープン)パーツの端から端までの長さを言います。テープ部分の長さではありません。くわしくはこちら→YKK ファスニングサポート ファスナーの寸法
ファスナーを発注してみよう その2 で、実物は?
「どうMさん、分かってきた?」
「いや、言葉じゃ分かるけれどもやっぱり実物見ないとイメージ湧かんよ・・・」
「それもそうだね。店頭には数十種類のサンプルがあるからそれ見てみましょう」
「これは?」
「選べるサイズと素材一式です。ファスナーを注文する際にまず最初に選ぶのがサイズと素材ですね。サイズは3号〜10号まであり、
これでファスナー自体の大きさが決まります」
「ファスナー自体とは?」
「スライダーの大きさ、エレメント(スライダーが滑るところ。つぶつぶのパーツ)の大きさ、止め(オープン)パーツの大きさ、テープの幅、のことです。数字が大きくなる程、これらが大きくなります。当然ですが、3号のエレメントには3号用のスライダーでないと取り付けができません。」
「ファスナー自体のボリュームがこれで決まるってことかぁー」
***
一般的には
3号…財布の小銭入れ、カバンの内ポケットなど
5号…ラウンドファスナーの外周、カバンのメインファスナーなど
7号…メンズの革ジャンのフロントファスナー
8、10号…これらは「何に?」というよりデザイン的な問題かと。
インパクト大なので上手に使えれば作品の顔になりますね。
***
「で次は?」
「仕様ですね。何に使うか?である程度決まってきます。カバンに使うのであれば止仕様、
アパレルで使う場合はオープン仕様が多いですね。」
「ふむふむ。で、さっき言ってたW仕様ってなに?」
「1本のファスナーに2つスライダーが付いている仕様を指します。あまりありませんが、
トリプル(3本)やクアドラプル(4本)…など多数付けることも可能です。
「これはカバンでよく使うW仕様(頭合わせ)ですね。
止めとスライダーの間はエレメントが閉まっていて、
スライダーとスライダーの間が開いているものです。
で、こっちはW仕様(尻合わせ)です。」
「何に使うの、これ?」
「アパレルさんでたまに見かけますね。主に衣類系だと思います。
僕もあまり受注経験がないタイプです」
「ほんでさっき言ってたオープンとは?」
「革ジャンとかパーカーとか、ファスナーを完全に開いた状態にすると。テープが左右分離するやつです。」
百聞は一見に如かず。ほい
「おお、ジャンパーに付いてるヤツや!」
「Mさん、ジャンパーて。歳がばれるよ。。。」
「けどこれはレザークラフトではあんまり使わなそうやな」
「おっしゃる通り」
******
前述のW仕様はオープンの場合でも可能です。
※一部スライダーはW仕様未対応のものがございます。
ファスナーを発注してみよう その3 パーツを選ぼう
「だいぶファスナーが分かってきたわ」
「基本的な仕様やそれぞれの意味が分かってきたら案外簡単でしょ?
サイズと仕様が決まればあとはそれぞれのパーツをどれにするかを選ぶだけですよ」
上の画像が止めパーツ、下がオープンパーツです。
名称の横に(#○)とあるのは対応しているサイズ(号数)を表しています。
WALDESがビンテージファスナーの復刻を謳っているので、
H止めやコ止めがまさに!といった感じのパーツです。
****
「これはこれで選ぶん大変やな」
「号数や仕様は作るものによって必然的に決まってきますが、
止めパーツは好みで選んでもらって大丈夫なので直感でいきましょう!」
「ちなみにどれが高いん?」
「相対的な回答ですが、止めパーツの中だとコ止めとBG止め、
オープンパーツは4ツ組が他のものに比べて高く設定されていますね」
「で、これがスライダー一覧です。」
「選べるかいな!」
「これ全部選べる訳じゃないです。
それぞれの写真の上に品番があるでしょ?その品番の最初の数字が対応号数です。
【31T】だったら3号、【73MO】だったら7号と言った感じです。
ちなみに2016年度版のカタログを載せていますが、割と高頻度で新種のスライダーが出ているようで、僕の知らないものとかもたまに問い合わせ頂いたりします。
分からないことがあったら調べますので、何でも聞いて下さい」
「これは悩むなぁ…」
「ある意味、これらのパーツはファスナーの顔になる部分なので、
時間をかけてじっくり悩んで下さいな」
「さて、終盤ですよ。テープ(生地部分)の色を選びましょう。
「え、こんなに。選ぶの疲れてきたよ。。。」
「何をおっしゃいます。YKKは600色あるんだから、これでも絞られてる方ですよ」
「600。。。。」
「ちなみに、ここでは色の他に素材もお選び頂けます。
ポリエステルか綿の2択です。写真の上2枚と左下はポリエステル、右下は綿の見本になります。
ポリエステルの方が耐摩耗性には強く、耐久性があります。綿はビンテージの雰囲気重視の方にお勧めです。耐久性は…決して高くはありません。その辺りはご注意下さい」
「じゃあNo,02のアイボリーにするわ」
「あ、ごめんなさい。全部選べる訳じゃないんですよ。
色の名称の横にマル3とかマル8とか数字書いてあるんですが、
それが対応号数を表しています。
なのでNo,00のスノーホワイトは全サイズ対応してますが、No,04のレモンイエローは3号と4号しか対応してません。」
「ややこしいのう。じゃあさっき選んだNo,02は?数字何も書いてないやん?」
「これはPhoenixでは非対応のコイルファスナー専用のテープになります。
うちで受注できる金属ファスナーでは選べない色になります」
「そんなら最初っから載せるなー!」 ゚A`)≡〇)`Д゚).・;’∴
大人の事情でコイルファスナーのお取り扱いはございません。
ご理解の程よろしくお願い致します。
***
さて、ここまで決まったらあとは長さです。
前述の通り、一番間違いが多く、納品直後に±1センチの長さ違いの注文を頂く事が多く、
そういう時は心の中で「ああ、長さを間違えたんだなぁ」と同情しております。
長さについてはこちらをご覧下さい。
※受注生産品のため、長さ違いなどお客様の注文ミスによる返品交換が一切できません。
十分すぎるほどご注意下さい。
***
「12センチか13センチくらいかなー」
「1センチ違うだけでも全然違いますからね。先に型紙作って、それに合わせて発注して下さいな」
「ムゥ、ここまできて完了せずか…」
「間違ってたら元も子もないですからね。急がば回れです」
ファスナーを発注しよう その4 スペシャルなファスナー
ここまでざっと、一般的なファスナーの注文方法をご紹介してきましたが、
WALDESファスナーには他のファスナーにはないスペシャルなファスナーがいくつかあります。
ランダムピースファスナー
Zin-Zip
セルビッチファスナー
クラシックファスナー
これらは号数や素材、テープ色やスライダーの種類などが限定されており
上記の方法ではご注文頂けません。お問い合わせはこちら、担当よこいまでお気軽に。
まとめ
「どう、Mさん。ファスナーについて少しは詳しくなれた?」
「いや、なかなか奥が深いな、ファスナー。
詳しくなったけど、一度に詰め込まれすぎて、多分明日には忘れるで」
私の半日を返せ!( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン
というわけでこのブログをMさん含め皆様に活用して頂ければと思います。
ファスナーは1度理解さえしてしまえば簡単なので、
分からないこととかあればお気軽にお問い合わせ下さいな。
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