2017年の大阪府皮革業界総合研修後期コース を聞いてきた:仕上げとユニタスの手入れ剤の話し


毎年開催されている皮革業界総合研修。
18.1/16~ 大阪府 皮革業界総合研修後期コース  | phoenix blog

  

空きのある講座はまだ参加可能だそうですので上記写真を見てお問い合わせください。
正直この手のセミナーがきちんとあり、受講が可能、というのはものすごく幸せなことですので。しかも無料。ありがとう、大阪府!

で、とりあえず聞いてきた「仕上げ」と「ユニタスによる手入れ」講座の話し。

革の仕上げについて

講師はタンナーに薬品を降ろしているTLFジャパンの大矢氏。
以前皮革大学でも仕上げの講習を聞かせていただきましたが、今回も仕上げの話し盛りだくさん。

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ただ、内容があまりにもタンナー寄りで専門的。でもタンナーから見るとちょっと物足りない。多分タンナー向けセミナーを一般人向けに簡略化しているんだろうけど、それでも十分マニアック
革屋さんか、タンナーから購入するレベルの業者さんならば価値あるかなぁ、と。

ムラキ個人としてはニコニコしながら楽しく聞かせていただきました

講座の最中のメモから抜粋すると、、

仕上げの範囲は膨大。

革はどうやって仕上げられているかの片鱗だけでも。

仕上げは何のために行うか?

革の特性、外観を向上させ有用性を与える

下地の段階で完全に均一ではない。この状態から仕上げる。

ツヤ、色、手触り

手触りの感触は下地からくるので、仕上げだけではどうにもならない。銀層の下、繊維そうからくる柔らかさや味はどうにもならない。下から積み上げていく

物性をあげるとナチュラルさとはトレードオフ。

カーシートは膜が厚く、物理特性は高いが、ナチュラル差はない。

アップグレーディング

原皮が世界的に良くないのでアップグレードで表面の均一化。

使用した仕上げ剤によって仕上がりが変化

ワックスの種類にもよるが基本は入れると硬化する

革製品は曲がる、伸びる、摩擦、摩耗、光、などにより形状が変化させられる。これらを完全に防ぐのは不可能。クレームつかないレベルにまで持っていく。

カーシートは乗り降りの際の摩擦がでかい

アニリン仕上げ…染料のみ使用して仕上げたもの。色の深みがあり、上品な仕上がり。顔料を使用しない仕上げ。

仕上げ工程ではインク。なめし工程では粉。

染料は粒子が微細。顔料はそれよりでかい。砂と石くらい違う。

セミアニリン

少量の顔料と染料を併用して仕上げたもの。ナチュラルさと色の深み、下地への弱い隠蔽力

or

下塗りを顔料のみで行い、トップコートに染料のみで着色。

ほとんどは下記の物が多い。

顔料仕上げ

着色に顔料を使用。

下地がほとんど見えない。

黒の革を白にしろ、と言われると限界がある。相当の量の塗料を入れないといけない。下地の色とのバランスは無理のない範囲で。

家具や車などに多い。

樹脂仕上げ

アクリルやウレタン。 多くの仕上げに使用される。組み合わせや比率によって多様な要求を満たすことが出来る。

TLFだけでもアクリルウレタンで100種類ある。

ソフト革から自動車用まで。幅広く。

革製品のメンテナンスについて

ユニタスファーイースト社の社長さんによるメンテナンスセミナー

ユニタス | 総合トップ | 革製品・布製品のメンテナンス用品・汚れ落としクリーナーや保護クリームなどのお手入れ剤と修理・クリーニングサービス

話の内容としてはアフターケアではなく、ビフォーケアの重要性や汚れごとに性質が違い、それにみあったケアが必要。革を3種にわけてそれぞれに見合ったケアをしましょう、という内容。

面白いのだが、レジュメが用意されていない。そのため講習を受けている方が講習の内容を理解するよりも口述筆記に集中してしまっているのがもったいないな、と。
重要なポイントはある程度決めてきているだろうからそれならその点を書いておいたレジュメなりを用意して欲しい。
それをしないと聴講生は終始「10秒後に重要なことを言うかもしれないからメモの用意しなくちゃ!」と集中を維持しなければならなく、結果的に意識が散ってしまう。

ここらは講師というよりもセミナー準備した主催の問題かな、と思います。

講座の最中のメモから抜粋すると、、

なぜメンテナンスが必要か?
まず汚れを取り清潔にする。その後に油分を補給。

ヌメ革に水がつくと染みが出来る。
植物のシブが剥がれてしまう。

メンテナンスと仕上げは違う。
オイルを入れるはメンテナンスとは違う。

オイルを選ぶ基準は?
オイルを間違えるとオイル染みや型崩れの原因や冷たくなって革の吸湿性がなくなることもある。

本来の色つや感触を変えないことを選んでもらいたい。

いろいろなクリーナーがあるけど、それを間違えると困る
油分がなくなると艶がなくなることもある。

汚れには2種。表面に残っているのと、内部に入っているのと。
乾拭きはほんとにいいのか?
乾拭きの怖さは摩擦熱を与える
お客さんによって乾拭きのやり方が異なる。異なりすぎる。(力加減や時間など)

それならばブラッシングか掃除機の方がいい。

ニベアは油染みが出来やすい。油は人間の皮膚と結合して吸ってくれる。
水、お湯を使うと乾いた革の場合は銀ウキ、ピーリングの原因になる。
中性洗剤は油分を溶かす。
牛乳の中にカゼインが入っている。グレージングのためにカゼインが使われる。カゼインは硬い。乾燥するとパリパリに。牛乳の中に入っている水分や栄養が腐ることもある。
10年使ったヌメ財布のテカリは垢の塊。これをメンテナンスすると垢を落としてテカリを落とす可能性が高い。
テカリは汚れのサイン。

革のメンテナンスはビフォーメンテナンスが重要。
ヌメ系は特に。
白木の廊下は手入れをしているときれいに光沢になる。

革の線維に入り1本1本にコーティング。ビフォーメンテナンス
=プロテクトレザークリーム。水溶性なので顔料を溶かさない。
薄く塗ってもいくらでも伸びる。1平米に付き30ml以上塗る。
半年間メンテナンスフリー
ただし、ホテルなどの不特定多数ならば2,3ヶ月に1度。一般家庭ならば半年で十分。

油の染みは取れる。油の染みを取るものがある。
水染みは駄目=シブの結合が外れているから

ヌメの嫌なところは垢が内部にはいり黒くなる。
それならば事前にプロテクションをしたほうがいい。

バッグなどは持ち手の部分が汗を吸うので汚れやすい。
だからこそビフォーメンテナンスが重要かと。

 

家具業界の革のクレームは1年後3年後に来る。
白いソファーが変色した!などの苦情が来る。
毛穴の中に汚れが入ってしまったので変色したように見える。
これは革の汚れの落とし方を教えてないから。

革は手入れをしたら応えてくれる
テカリなどは汗などの汚れの証明

正しいメンテナンス
汚れを正しく取ってあげる
油を与えて保革する

艶を出すなどはその後の話。

ちょっとした食い違いでトラブルが生じやすい。

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