動画で解説:分厚い革を漉き機で漉くのは故障の原因になるので無茶はするな、という話


※このBLOGは過去BLOGに載せたものを再掲載しています。

「分厚い革を漉き機で漉こうと革を突っ込んだら止まってしまったけど手で無理やり引っ張ってなんとか漉きました(・∀・)」

!!!!やめてあげて!((((;゚Д゚))))
故障の原因になるし、それで一発koになった漉き機もあるから!
漉き機が途中で止まるのは

「負荷が高すぎてこのままだとシャフトを曲げてしまいますけどいいデスか?
最悪買い直しデスよ?覚悟完了デスか?」

という漉き機からのSOSです。
今回のblogでは厚いものをどのように漉くか、を解説していきましょう。


 まず大前提として、、

ニッピの小型漉き機は限度があります。
そもそもがこんな小型の機械で分厚いものを漉こうとするのは無理があるんです。

ですので無理は禁物!
漉き機がとまったり、モーターが空転する際はすぐさま停めてください。
無理はしない!

無理はしない、という約束を踏まえて厚いものを漉くテクニックです。

基本は3つ。

1 刃先を研ぐ
2 刃先と押さえの間をあける
3 刃先とタルの間をあける

この3つ。
これを知っているだけで漉き機の可能性はグンと広がります。

動画で上記3点を順番に解説しています。

1 刃先を研ぐ

刃先も研ぎ方に注意点がいろいろあるのですがそれは今回とは違う話ですので割愛。

2 刃先と押さえの間をあける

文章で説明するのは難しいのですが、、

タルで押されて押さえの下に到達した革はタルによって送る力をかけられ、押さえによって上から力をかけられている。
その負荷がもっとも高いのが押さえから送り出された瞬間。具体的には押さえ右側の真下。
この部分に力がかかりグッと革が圧縮され硬くなっている。

 タンニン革の厚いものや背中部分を漉こうと思った場合、丸刃の刃先が革に接する部分は圧縮され硬くなりすぎているので丸刃で削れない。
この時に空転したり、モーターが止まる。

 だから刃先をもっとも圧縮された押さえから右側0.5mmではなく、右側1cmなど大幅に右側に刃先を移動する。
これにより精度がでなくなるが、とりあえず削ることが可能。
厚いものを徐々に薄くし、薄くしてから精度を出す。

タンニンベルト革を3.5mmから2mmなど一気に削るのはこの機械では不可能。
まずは0.2mm~0.3mmでもいいから少しずつ削っていく

はい、文章だとわかりづらい説明ですね。
ここらはもう実地に説明するしかないです。
文章読んで感覚をつかめてもらえれば幸いです。

3 刃先とタルの間をあける

この重要性を説明します。

  タルの役目は2つ。

1つは革を押さえまで誘導すること。
もう一つが削られた革のカスを下のゴミ箱に落とす、という役割。

丸刃とタルの隙間が小さければ小さいほど送る力は強くなるが、その分革のカスを下に送りづらい。

普段使っていてタルがカタン!カタン!と鳴っている人はちょっと厚目の革を厚く漉いていると思います。
丸刃とタルの隙間が大きければ大きいほど送る力は弱くなりますが、その分革のカスを下に送りやすくなります。

今回のような分厚く硬い革を漉く場合はタルと刃の隙間をあけてあげます。
こうすることでタルの負荷を弱くしつつ革のカスを下に落ちやすくしてあげます。
これが漉き機全体の負荷を軽くします。

はい、これもまた文章だとわかりづらいでしょうし、動画見てもわかりづらいと思います。

でもまぁ、このblogを読んで「漉き機が止まった時に手で無理やり送るのは大変!!」と思っていただけたら幸いです。
上記3点を意識してきちんと使えるようになったら漉き機の使い方中級者です。

漉き機を購入する前or購入した後の人向けの個人レッスンを開催しています。
今回の話を実際に漉き機を触りながら漉いてもらったり、手入れのやり方、これをやると壊れる、幅広い漉き方などを講習します。

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無理なことをしない・油をきちんとさしてあげる

これを守って漉き機を大事に使ってあげてくださいな

余談

 動画編集の間てらてらとfacebookで会話をしているとバッグメーカーさんがアドバイス

「押さえ左側のかまぼこ板みたいなパーツを外しても厚いもの漉けるようになりますよ~
あと厚物用、という漉き機をニッピさんが出していますね。

NP-10ってやつです。
上下送りのローラーがついているんですよ」

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ほへ~
そんなものがあるんだのぅ

文責:ムラキ

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