レザクラ初心者へこっそり伝えたい話。エピソード3「革について知って欲しいこと」について


「初心者向けプレ・レザークラフトワークショップ」を担当しているウッチーです。

レザークラフト初心者へこっそり伝えたい話。の第3弾「エピソード3」として

ブログ記事を書いていきます。


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レザークラフト,女性,革職人

今回は「革に関するあれこれ」知りたい方必見です。

革製品に対して皆さんはどんなイメージを持っていますか?


「カバン・財布・ベルト・靴や革小物など」様々な製品として世間に多く流通しているので、

主に牛革のシボ感のある風合いであったり、あとはスムースレザーなど革製品を使い込んだ時のエイジングのツヤの美しさなどのイメージが多いですかね?

もしくはワニ、トカゲ、ヘビ、ダチョウなどのエキゾチックレザー系のイメージもあると思います。

 

あとは「生きていた動物の皮を利用する」=「生きている”命を奪う”イメージ」がある人もおり、初めから良くないイメージを持たれている方も稀にいます。(害獣駆除対象動物のイメージがあるのかも)

 

今回は「良くない=悪だ」と思い込まないよう”知って欲しい内容“をお話したいと思います。

 

まず先入観のないよう申し上げますと、

「革製品を製造するためだけに屠畜(屠殺)はされていません。」

 

人間は野菜や果物だけでなく”肉も”食べているので(※一部の国や地域を除く)

「食肉文化」が続く限り「皮」は出続けます。

牛の皮で例えると日本だけでも1年間に約100万頭分(2021年)

レザークラフト,牛

 

「お肉・乳・革」以外にも様々な分野に対し出来る限り無駄のないように有効活用するよう工夫されています。

(※)革製品以外に化粧品・医療品・油脂・コラーゲン・ゼラチン・肥料など多岐にわたり役立てられています。

 

「そんなに多く消費されているのか!」と驚く方も多いと思いますが。

 

2025年時点で「日本の人口は約1億2000万人」と言われており、その人類の下支えとなっている

「動物たちは本当に貴重でありがたい存在」なのです。

 

止まらない消費とそれに伴い増えていく動物の皮(原皮)。

仮に肉や骨以外の「皮」を廃棄・焼却した場合はどうなるでしょうか?

100万頭以上の皮を膨大な火力焼却処理。それに伴う二酸化炭素が多く排出され

環境負荷がかかると予想されています。(※皮は水分量があるので腐りやすく燃えにくい。)

 

これを丈夫で長持ちしやすい革製品として有効活用することは、

実は皮の廃棄・焼却処理に比べて環境負荷が少なく

長い目でみた時、脱炭素社会への貢献につながります。

「脱炭素社会」とは … CO2排出量を削減及び排出が避けられないCO2を後から回収し実質ゼロを目指す社会。

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内容を簡潔にまとめると、
「革は人類の知恵と有効活用によって生まれた貴重で尊い副産物」と言えます。

ルーツを知って頂き、「革製品」に対し以前より良いイメージになっていれば幸いです。

 

>> 詳しく知りたい方はこちらへ ( JLIA | 一般社団法人 日本皮革産業連合会)

 


皮を有効活用するための「鞣し(なめし)加工」について。


突然ですが「皮」と「革」の「漢字の使い分け」に違いがあるのをご存じでしょうか?

 

これは動物の「皮(原皮)」有効活用するためタンナー(tanner)と呼ばれる

皮革製造業者(製革業者)鞣し(なめし)という、

汚れを落とし防腐処理や柔らかくしたり様々な工程を経て

工業用の耐熱・耐久性を備えた「革」へ加工処理を施します。

つまり「皮」は鞣し(なめし)加工前の名称で鞣しが施されたものが「革」と呼ばれています。

 

では次に「鞣し(なめし)」という初心者さんには

聞き馴染みのないパワーワードが出てきたので、

その説明を少々…。

 

レザークラフトにおいて「鞣しの種類」は知っておくべきポイントのひとつです。

例えると同じ豆腐でも「木綿豆腐」「絹ごし豆腐」「高野豆腐」の様な違いがあります。

 

同じ動物の革でも鞣しの種類が異なるだけで風合いや特性が変わりますので、
作品作りに影響が出るので予め特徴を知っておくことが大切です。

 

鞣しの種類と大まかな特徴を記載してみました。

▼主な鞣し(なめし)方法の種類 (※他にも鞣しの種類は存在しています。)

タンニン鞣し植物由来のタンニン(渋成分)を利用した鞣し方法。 <特徴> 可塑性(かそせい) / 耐久性 / 堅牢で耐摩擦性に強く伸びが小さい / エイジングが出る / 生産量が少なく高額 / 光・水・キズに弱い / やや重く硬さがある。
クロム鞣し 塩基性硫酸クロム/3価クロムを使った鞣し方法。 <特徴> 柔軟性 / 弾力性 / 耐熱性 / 耐水性 / 染色性 / ひっぱり強さ / 経年変化はほぼない / 生産量が多く値段が安い / 光・水・キズに強く軽くて柔らかみがある。
コンビネーション鞣し(混合鞣しや複合鞣しとも呼ばれる) → 主に2種類以上の鞣しを組み合わせた鞣し方法。 <特徴> 例えばタンニン+クロム鞣しの複合だった場合、両方の特性を合わせた風合いになる。(※タンナーでの加工内容により風合いについては革によります)

 

タンニン鞣しの革「コバ磨き・経年変化・刻印・ウェットフォーミングなど」表現の自由度が高く、レザークラフトでは扱いやすいのでオススメですが、自分好みの革と出会うために特徴をふまえ色々試してみると楽しいと思います♪

 


タンナーで一体どんな工程(鞣しなど)が行われているのか?


<< タンナーによって内容は異なります >>

作業工程として「毛が付いてる原皮」 → 「原皮の汚れや塩分を落とす」→ 石灰水を使用し脱毛と革を柔らかくした上で「鞣し」 →「 厚み調整」 → 「染色・加脂」 → 「塗装」 → 「乾燥」などの工程を経て、

別途「バフがけ・塗装・艶出し・アイロンや型押しなどの仕上げ加工」により、工業用製品としての「革」が卸先の販売店などへ流通しています。

このように「タンナー」と呼ばれる製革業者が存在しているおかけで
皮の廃棄を減らし、革製品全般の根幹となり皮革産業を下支えしてくれています。

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定期的に工場見学を実施されていることもあるので、ご興味がある方は一度参加してみてはいかがでしょうか?

 

 

その他、覚えておきたいことは多々あります。例えば

※「人工皮革・合成皮革等は革ではありません。」レザーや革と呼べるのは動物由来のものだけです。(JIS規定あり)

※「染色」については染色専門業者も別途存在し、タンニン鞣しで無塗装無着色の素上げ状態のものをヌメ革と呼んでいます。

※「鞣し・染色・加脂・塗装・仕上げ」など経て「完成品として革が存在」しており、個人での2次加工についてはリスクが少なからず存在します。(※調色リペアは難易度高め/染色ムラなど)

レザークラフトには材料や工具・道具の使い方など、技術面でもそうですが「革も奥が深い」ので少しずつ知識を増やし色々チャレンジして欲しいです♪

 

 

話が長くなってしまったので今回はここまで。
今後のレザークラフトにお役立て頂ければ幸いです(^_^)>

 

今回はエピソード3として

「革について知って欲しいこと」についてのお話でした。

次はエピソード4として革の種類・個体差についてブログを書く予定です。

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こちら毎月開催しているのでご興味ある方はぜひご参加ください♪(^o^)/

 


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