「初心者向けプレ・レザークラフトワークショップ」を担当しているウッチーです。
レザークラフト初心者へこっそり伝えたい話。の第4弾「エピソード4」として
ブログ記事を書いていきます。
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- エピソード1「必要最低限の工具とは?」「革の厚み」について
- エピソード2「レザークラフトでの騒音対策」について
- エピソード3「革について知って欲しいこと」について
- エピソード4「革の種類・個体差・名称」について

今回は「革の種類・個体差・名称について」知りたい方必見です。
目次
革の種類・個体差・名称を知ることのメリット
冒頭にある「革の種類や個体差・名称について」の話をする前に、
これらを知ることで得られるメリットについてご説明させて頂くと、
ズバリ!「①革を購入する際に迷わない。」と「②寛容な発想次第で個性溢れる作品作りへ昇華できるかも。」です!
これは前回記事の「エピソード3|鞣し(なめし)方法の種類」と一緒に併用すると、
「自分が求めている革」をレザーショップさんに「より具体的な内容で相談することが出来る」ようになるので何かと利便性よくなります。
そして動物も人と同じように「世界にひとつだけの革」なので。
「個体差」に対しても「個性」と認識・理解した上で、個性を活かした作品に仕上げることも可能となります。
たとえば工芸作品に近い革の使い方とか、別次元級で工夫がすごいんですよ…。
「インターナショナルレザークラフトエキシビジョン(JLCA)」と呼ばれるレザーコンテストが毎年開催されているのですがレザークラフトの世界って奥深いなぁ…。って気持ちになります。
>> 過去の作品図録(作品集)はこちら <<
個性を活かした作品など、いつかチャレンジしてみても面白いと思いますよ♪
革の種類(動物の種類)はどれだけ存在するのか。
革の種類(動物の種類)はどれだけあるかと申し上げますと、、、
背骨を持つ脊椎(せきつい)動物であれば原皮を「鞣す(なめす)」ことが可能と言われているので、革の種類については数多く存在しています。
革の種類は家畜である「牛」「豚」「馬」「山羊」「羊」や「鹿」などの代表的な動物や「ダチョウなどの鳥類」「ワニ・トカゲ・ヘビ・カメなどの爬虫類」「カエルなどの両生類」「サメ・エイ・鮭・鯛などの魚類」などもあり、これらすべて革製品へ転用することが出来ます。
ここで疑問なのはダチョウの革は見るけど、ニワトリの「レザー(革)」は一般的に見かけることはありませんよね?
それはニワトリを鞣すことは可能だが、コラーゲン繊維(密度や絡み具合)と脂の兼ね合いで食用として品種改良されたニワトリ(ブロイラー)は脱脂後「鞣された革は薄く強度がない革」となるそうで、形・大きさ・厚さなどを考慮すると商品にするような物を作るのは難しいのだとか…。
※ネット検索すると個人でニワトリの皮を鞣して活用されている方はいますね。すごい…。
そのため脊椎動物の数だけ「革の種類」は存在するけども、レザークラフトで扱いやすい革と、そうでない革もある。という事です。
革が流通する重要なポイントとして、生産コストを含め皮革製品としての安定基準「強度・耐久性・形・大きさ・厚さなど」が消費者の需給にも影響してくるということですね。
ちなみにPhoenixではエキゾチックレザーや毛皮革を除いた。レザークラフト向けの革
「牛」「馬」「豚」「鹿」「山羊」を取り扱いしております。
>> Phoenixの「革」一覧はこちらをクリック <<
もしお探しの革があれば一度ご相談・お問い合わせください。
革は天然素材ならではの「個体差」が必ず存在します。
次に「個体差」についてお話をさせて頂きます。
「天然素材である革」は我々「人と同じで、革には生きてきた証」が表れます。

- バラ傷 (生前の傷跡)
- シワ (首から肩に多く見られる)
- 虫刺され跡 (生前の虫刺され跡が窪みとして残る)
- 血スジ (血管の跡)
- 色ムラ (繊維組織が均一でないため浸透差が出る)
- カマ傷 (剥皮の際の刃物傷跡)
- シボ (皮膚細胞の大小)
など
上記の他にも退色・変色・色移り・オイル移りの可能性もあります。
人のほくろや指紋などと同じで
革1枚1枚にサイズ・厚み・キズなど個体差が必ず存在するので、
革の「色ムラ・色ブレ」に関して言うと、ロット差や人の目視による調合具合もあるのですが、
革の部位による伸縮(※繊維密度が異なる箇所や凹凸)があることで、
オイル・下地剤・染料・顔料・仕上げ剤などを革に入れる工程で、
革の繊維に均一に入らない現象が発生します。
※同じ量で均一散布しても1枚1枚仕上がりに違いが表れます。
これらを個体差というと印象が悪く聞こえるかもしれない。ので…。
「個性」と表現した方がいいのかもしれません。
昨今、お肉の生産量や消費量も減っているので、
それと同時に「美しく綺麗な革」も基本的に確保すること自体が困難となっているのが現状です。
この「個性(個体差)」に対するメリット・デメリットを含め、「天然皮革」についていろいろ考えるきっかけとなればと思います。
「丸革」と「半裁革」って何?どう違う?
次に革の名称についてですが、革を購入する上で知っておくと良い内容として、
大きく別けると「丸革(まるかわ)」と「半裁(はんさい)革」があります。

まず「丸革」とは「1頭分そのままのサイズ」で1枚革のことを呼びます。
①大きな面積を必要とする革製品(家具やカーシートなど)を作る。
②革としての面積比が小さい動物の場合。
これらを主な基準とし「丸革」が存在しています。
次に「半裁革」についてですが、
こちらは「動物の丸革を背に沿って半分に裁断した状態の革のこと」を半裁革と一般的に呼ばれています。(※革を半分に裁断した状態を指すこともある。)
ちなみに「小さい動物でなぜ半裁革がないのか。」というと、
この場合、半裁革にしてしまうと小さすぎて革製品に加工しにくい為と言われています。
上記2つの違いを知った上で、次のステップへ進みたいと思います。
革の部位の名称について。
先ほど「丸革」「半裁革」の説明をさせて頂きましたが、
実はこの他にも革の裁断方法が存在しており、それは「革の部位ごとの裁断」となります。
「ショルダー」「シングルバット」「ダブルバット」「ベンズ」「クロップ」などで呼ばれるこれらは革の部位ごとに切り分けがされています。そのため予め各部位の名称や特徴を知っておくと、革製品が作りやすくなりますので知っておくと良いポイントとなります。今回は代表的な「牛革」をもとにご説明させて頂きます。

▼主な部位の名称▼
- ネック … 首
- ショルダー … 肩
- バット(ベンズ) … 腰(背中央)と尻
- ベリー … 腹
など

※ちなみに各国(欧州・北米など)の需給における歴史文化背景により、裁断方法や呼称にそれぞれ違いが生まれたそうです。
▼部位ごとの特徴▼
・【ショルダー(肩)】の部位は、稼働部分によるシワなどが残りやすく、太い繊維と細い繊維が混在しているため強靭で丈夫。馬具やベルトにも使われます。
・【バット(ベンズ)】の部位は、繊維密度ときめの細かさのバラつきが少なく丈夫。繊維が安定しているので用途の幅も広くバッグの胴面などにも使われます。
・【ベリー(腹)】の部位は、他の部位に比べ、比較的繊維が緩い部位となります。
上記の特徴に加え「鞣し方法」や「仕上げ工程」などにより、革の質感に大きく影響は出るので、
クロム鞣しだった場合は特に全体的に柔らかい仕上がりとなりますが、それでもショルダー部に比べるとベリー部分の革はよく伸びる印象となります。
それと実は「革にも繊維方向」は存在しているので、それぞれ「伸びる方向が存在」しています。
これらを説明しだすと話が長くなるので今回は省略させて頂きますが、
これらをほんの少し覚えていると、自分が理想とする革を見つけたい時に、
「タンニン鞣しの、牛革で、茶色系の、ツヤがあるショルダー部分が欲しい」
「タンニン鞣しの、牛革で、シボの入った革でハリ感と厚みのある革が欲しい」
「ウェットフォーミングが出来て染色も出来る革が欲しい」
「シボが入ったやわらかい革で明るめの色の革を探してる」など
レザーショップへ相談する際、説明がしやすくなり理想の革を見つけやすくなります。
また判断基準にもなるので、再現性の高い作品作りを実現しやすくなると思います。
記事の内容はあくまで氷山の一角です。
レザークラフトは知れば知るほど奥が深いものなので、
この革で何が作れるだろう?何か出来ないかな?など考えながら作ることで、
より一層レザークラフトを楽しむことが出来るのではないでしょうか。
参考としてお役立て頂ければ幸いです(^_^)>
今回はエピソード4として
「革の種類・個体差・名称」についてのお話でした。
次はエピソード5として何かしらのブログを書く予定です。お楽しみに!
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