「スマホケースを型紙通りに作ったのにはいらへん!」
んあ?布と違い革は厚みと張り、腰の強さがあるからたとえ厚みを揃えても型紙通りに作っても信用できないのよね。
だからレザークラフトの本は型紙を載せるのを嫌がるんだよ。
「でもこんなにキツキツなのはおかしない?ほら、型紙通りにしたのに仮止めできつきつやねん」
よし、それでは革の小物において漉きがどれだけ重要か証明しようか。
そもそも漉きはしたの?
「もちろんさ。斜め漉きをきちんとしたよ」
厚みは考慮した?
「スマホの厚みが8mm程度だから5mm端っこを斜め漉きしたよ」
そら足りないわ。
図で書いてみるけど、、縫い代が2,5mmか3mmだとするよね?
で、厚みが8mmで半分の4mmで想定する。
でも革の場合は厚みがあるからそう簡単ではない、と。
革は何を使ったの?
「アリゾナの赤」
アリゾナは厚みが1,6mmか1,8mm程度よね?そうなるとさらに長さは長くなる。
スマホの高さを覆う、じゃなくてスマホの角全体を覆うように漉かなきゃいけない。
そもそも斜め漉きは「意図的に弱い面を作ることで力がそこに流れるようにする。それにより緩やかなカーブを形成する」のが目的よね。
だから5mmなんて生ぬるい幅ではだめ。スマホの角が革に及ぼす力をカーブ全体で分散しなきゃいけない。
12mm幅くらいは漉かなきゃダメ。
今回は目分量でやってみるね。
うっ、ちょっと漉きすぎて15mmね。
博打張りたくなかったら試し革で12mm幅や16mm幅と漉いて実際のスマホに張り合わせて実験したほうがいいわね。
ほら、ゴムのりで試しに貼ってみなさい
「うっ!スムーズにはいる!斜め漉きしただけなのに!」
小物は漉きが命
「じゃぁどんな革も15mmに漉いたら同じような形になるの?」
そうもいかないのが革の面白くてめんどいところ。
最初に言ったように革の厚み・張り・コシの強さや吟面の強さで変わる。
経験則ではあるけど、ある程度の法則性はあるよ。
押さえの加工
実際には単純に斜めスキをするよりもこのようにちょっと変わった漉き方をしたほうがすっきりするんじゃないかな。
縫い代部分はあまり薄くしないほうが良い。
漉きは「力を特定の部位で拡散するために薄くする」。ということは結局はその部分は弱くなるからね。
「それは普通の押さえでできるの?二度漉き?」
いや、これは押さえを加工しないと無理だね。
専門の漉き屋さんは押さえをグラインダーで削るけど、私はこのようなテープを貼って加工している。
上記の写真は「中漉きをする際に跡がつかないようにするためだけに設定した押さえ」ですわ。
漉き機はかなり論理的な考え方で使われる機械です。
漉き機が面白いと思えるようになったのに私は5年かかったけど、私のセミナー聞いたら多分苦手意識は薄くなると思いますわ。
漉き機セミナーは札幌で3月、東京で6月に予定しています。
大阪ではマンツーマンで2,5時間5000円での講習をしていますので興味ある方はまたお問合せください。
2,5時間で叩き込みます。
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