こんにちは、吉川です。
僕が個人的に惚れ込んでいる
昭南皮革さんが製造する
グレージングベンズと多脂ベンズですが、
今日はその違いについて書いてみようと思います。
購入を検討されている方には、参考になると思います。
鞣し工程、加脂まではまったく同じで、
その後にグレージングの加工をするかしないかだけの違いです。
「そんなことは分かっとるわい!」
と言うのはちょっと待って下さいね。
グレージング加工というのは、
ガラスの塊が革の吟面に圧力をかけながら高速運動することで
革の吟面にツヤを持たせる加工です。
摩擦熱が発生するので、革が少し焼けます。
革の吟面にある細かい細かいシワや毛穴などを潰して、
均一な面に仕上げることで、ツヤ感を出しています。
余談ですが、
薬品を吹き付けることでツヤを出している革もあります。
ヌメ革を染色した後に色止めのためにコート剤(仕上げ剤)を使った経験がある方は、
そのコート剤をイメージして頂ければ大差ないです。
同じ革の吟面ににツヤを持たせる加工ですが、
グレージング加工とは別物です。
これを区別せずにグレージングした革として扱っている革屋さんもあるようです。
見分ける方法は、
本来のグレージング加工は、
ガラスの塊が前後運動をした後が目視できるはずです。
あと、吟面をよ~く見てもらうと、
毛穴が潰れているか、立ってるかが分かると思います。
毛穴が立っていると、後者の吹きつけということになりますね。
吹き付けの場合は、後々ツヤがなくなってくるものもあるそうです。
前者の本来のグレージング加工は、
吟面が非常にデリケートで、扱い傷がつきやすいのが難点ではありますが、
浅い傷なら、布などで擦って頂くと綺麗に消せる場合もあります。
後者の吹き付けは傷がつき難く、染色した革の場合は色止めの効果もあるので、
製品にする時、した後の心配が少ないのがメリットですね。
長い余談となってしまいましたが、
どちらが良い悪いというつもりはありません。
知らないよりは知っておいた方がいいですよね?って話です。
突然ですが、ここで問題です!
多脂ベンズとグレージングベンズ、
張りのある硬い革が欲しい場合、
どちらを選べばいいでしょう?
グレージング加工をした革としてない革とだったら、
どっちが張りがあって硬い革か?ってことです。
グレージングベンズの方が、
ガラスの塊で圧力をかけているので、
繊維が詰まって、より硬くなってそうなイメージをお持ちではありませんか?
正解は…
多脂ベンズの方が、
張りがあって、硬いんです。
洗濯物をイメージしてみて下さい。
乾いてそのままのシャツはバサバサした感じで、
アイロンをかけたら、滑らかな感じになりますよね。
分かってもらえますかね?
それと同じ理屈です。
軽く巻いて、並べて撮ってみました。
左が多脂ベンズで、
右がグレージングベンズです。
グレージングベンズの方が細くなっています。
とはいっても、元々が分厚くて繊維の詰まった頑丈な革ですので、
どちらも太い巻きになってしまいます。
もう少し書きたいのですが、
長過ぎるので、次回に持ち越します。
過去の関連blog:
- 《革》昭南皮革さんが製造するベンズについて 2
- 昭南多脂ベンズ ナチュラル と 昭南グレージングベンズ ナチュラル入荷
- お客様作品紹介:昭南グレージングベンズのロングウォレット
- お客様作品紹介:昭南グレージングベンズを使ったギャルソンウォレット
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