刃型の話をしよう!刃型は保存しくじると簡単に傷がつく、という事例や保存方法、ラベルライターは買っておけ、アプリによる刃型管理方法という話


先日ふらっと刃型屋に寄ると「ムラキさん、ちょっと相談が。。。これ見てくれる?」

なんじゃらほい、と見てみると、刃型先端が傷ついている。これ、ひどいなぁ。刃型かわいそうに。。。

 

今回は刃型がなぜ傷つくのか、という話や、保管方法。管理方法などを紹介してみましょう。
管理方法などは刃型に限らず金具や革の管理にも応用できます。

刃型は傷がつく

なぜ欠けたか? 予測は2つ

「鞄の型、一式分だけど、これがところどころ欠けた、と、持ち込んだお客さんはいうんだよね。でも普通ここまで欠けないやろ?」

欠けないねぇ。刃型の鋼材にも良し悪しはあるけど、普通に使えば欠けないだろ。

「使い方が悪いんかな?」

例えば、革って鞣し工程で意図的に固く仕上げたり、某国の革は工程で手を抜いているのかジャリつくこともある。裁断していると「ジャリッ」と音がすることがある。こういう革を裁断した後の刃型を見ると薄く五月雨のような傷がつくことはある。でも、欠けることはまずない。

欠けるとしたら、疑うのは2つ。

1つは敷いてある盤。地にあるゴム板=盤が柔らかかったり、傷んでいると均等に刃先が当たらず、刃が食い込んだりする。クリッカーでこれを外す時に刃型の端っこをクリッカーで叩く人がいるけど、あれは刃型が斜めに力が加えられるので欠けやすいよね。地盤が傷んでいると結果的に欠けの原因になる。

2つは保存方法。刃型は重ねたら駄目。重ねるにしても「刃先と刃型上部が重ならないようにする」というルールを守る。
下記の写真なんかは「刃先上部=頭部分」とでも言えばいいかな、、頭と頭が当たるように置いている。もちろんこの場合は刃先が上を向くので大変危険。

(一応特殊事例として「革がきっちり鞣されていなかったため、骨のように硬い場所がある」というものもあります。この部分は革の内部が固く、刃が傷つきます。最悪欠けます)

刃先を下にして重ねて保存するならば、ダンボールや革などを挟み込んだほうが良い。新聞紙だとちょっと弱い。

刃型の研ぎ直しはものっそいめんどくさい

「じゃぁ、保存方法か輸送時の傷やね。
これを研ぎ直してほしいし、修復不能なものは再生産してほしいっていうねん。」

研ぎ直し?刃型なんて焼きが入っているのは先端1mm以下だから、研ぎ直そうと思っても微々たる程度しか無理でしょ。こんな欠けているものは研ぎ直し無理やん。それに一部だけじゃなくて、全部研ぎ直さないと意味ないし、研ぐ場合手作業だろ?めちゃ大変やん!

「そうやねん。
だからこのレベルで欠けているものはもう作り直しだよ。」

まぁ、そうだろうなぁ。たとえ0.2mm欠けたとしても、その0.2mm切れないことで革の繊維が2本切れなかったら作業性が落ちるし、10本切れなかったら裁断できていないからな。そうなるといちいち手で切らなきゃいけなくなって、なんのために刃型作ったかわからなくなる。

欠けると凹む、は違う

ん?、、、これって、、欠けているじゃなくて凹んでいるな

「欠けているのと違うん?」

違う、明らかに。
右側は欠けているんだよ。硬いものがあたって曲がって割れた。
他方、ボールペン左側は「へこんでいる」

これは明らかに刃先に金属の棒の上に刃型を置く、あるいは刃型を重ねて放置。そこに何かしらの衝撃が加わることで刃先が潰れている。実際爪で触ったらわかるけど、外側にバリが出ている。これは「凹んでいる」ね。

刃型を新聞紙なりにくるんで重ねて輸送したんじゃないかな、と。あるいは、裁断時に上に重ねて置いた、とか。刃先なんて薄い部分だから金属当てると簡単に凹んだりする。

どちらにせよこれは裁断なり輸送手続きをした人間の梱包保存方法の問題。刃型に対する愛がないなぁ _(┐「ε:)_ あぁ刃型がかわいそう

刃型保存はどうするか?

財布メーカーさん

例えば、、、これは今年1月のJLIAblogで紹介した財布メーカー ナダヤさんの刃型保存。写真右側だね。

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」/「ものつく」~つくりたいとつくれる、をつなげるマッチングサイトに話しを聞いてみた

刃型保存写真ってあまり大きく写せないんですよ。大概「これは~~の依頼品」と書いてあったりするので。

この会社は定形の紙箱に保存していますね。で、紙箱の外側に管理番号などを書いて重ねています。この会社なんかは財布屋さんなので刃型自体は小さいのですが、数が多いので結果的に結構な大きさになります。

鞄メーカーなんかはもっと大きいですな。ダンボールに重ねてしまっている所も多いですが、必ず刃型と刃型の間には厚紙なりダンボールなり挟み込みます。

バッグメーカーさん

下記は大阪のバッグ会社さんの動画ですが、こちらなんかは刃型をぶら下げています。

ぶら下げている細長いパーツは鞄の持ち手部分。これらは長いので保管しづらい&持ち手部分は共用でいろいろな鞄に使うから使用頻度が高い。結果的にぶら下げたほうが良いよね、ということですね。

村木個人のやり方は

100均のプラケース、このタイプが刃型保存に便利

私は請負職人として裁断から行います。

で、メインのお客さんからの依頼で小物中心に作ります。私の仕事の特徴として「刃型は基本的に小さい」です。そのため小さな刃型がこまごまと溜まっていきます。これらの刃型は私個人の所有ではなく、依頼者のお金で作った彼の刃型です。なくすわけにはいきません。また、「この刃型あるならこういうの作れる?」と言われても、刃型所有者は私じゃないので勝手に使えません。

1個の刃型につき1個の箱、なんてできません。ですので、ダイソーで買ってきているプラスチックファイルケースに保管しています。

2年か3年くらい前から販売されるようになった、この持ち手付きのプラケースは持ち手部分がある分だけ収納スペースが小さくなっています。ですが、ロック部分が頑丈ですので、刃型保存に最適です。刃型は基本的に高さ19mm。このケースだと2mm程度の余白を残して収納可能です。

ちなみに、プラスチックファイルケースはいろいろなタイプがありますが、ものによっては「ロック部分が弱い」「横に分厚すぎて保存性が悪い」などの理由で結局使わなくなりました。

ファイルケースをさらにケースに保管する

これらのプラスチックファイルケースを、書類ボックスとでも呼ぶものに縦置きに置いていきます。

前述している財布メーカーさんのように積み重ねるのも手なのですが、「小さい物が多い」「プラスチックファイルケースに保管出来る」ため、積み重ねではなく、縦置きにしています。これにより取り出しやすくなっています。

ラベルを貼って管理していく

ラベルライターを使って管理しています。
ラベルに書くのは「製造年月」「名称」のみです。製造年月を書いておくと後日思い出しやすくなるのと、「をぉ、これ作ったの3年も前か!よく稼いでくれたなぁ」などがわかりやすくなるのでオススメです。ラベルは同じものを3枚作ります。刃型、刃型を入れるファイルケース、ファイルケースを入れる書類ボックス、の3箇所に貼り付けるからです。

色シールを張っておく

刃型、刃型を入れるファイルケース、ファイルケースを入れる書類ボックスの3つにはラベル以外にも「色丸」シールを張っておきます。「この刃型は赤丸1個のカテゴリーだから、赤丸1個の書類ボックスにある!」「この刃型は黄色2つだから、黄色2つの書類ボックスだ!」と判別するためです。上記写真ならば写真右上に黄色シール2枚貼っています。

・書類ボックスに「1001」「1002」と書いて番号で判別するのも手ですが、番号って読み取らなきゃ意味がわかりません。さらにシールを作る時に「以前は1005だから次は1006」といちいち番号を見直すのが面倒くさい。

管理はする。けど、あまり脳みそ使いたくないんです。管理という行為でエネルギー使いたくないので(ヽ´ω`) 色シールだと直感的に理解できます。ただ、莫大な量の整理整頓には向きませんので、在庫刃型量が2倍になると多分色管理は破綻するでしょうね。

・ちょっと刃型の細かい名称は見られると困るものがいくつかあるので隠しています。
書類ボックスの左上に赤なり青なり、赤2枚なり、判別のシールを張っています。

ラベルライターは買っておいたほうが良い

ラベルライターは買っておいたほうが良いです。

手書きでも良いのですが、視認性が高くないと意味がないんです、見出しってものは。私は自他共認めますが、字が汚いです。「丁寧に書けばいいじゃん!」
そこに意識使いたくないんだって_(┐「ε:)_

仕事でいろいろなものを使う&複数人で働く、というのならば整理整頓のために早い段階でラベルライターは買っておいたほうが良いです。
「自分だけわかればいいねん!」ってのは一緒に働くひとに対して失礼千万です。こういう積み重ねが積もり積もると「もうやめます」に繋がりますわ。
5000円~1万円で一緒に働く人間のストレスを減らせるならば、微々たる投資ですわ。

使っているのはカシオのラベルライター。3種でそれぞれ違いがあります。
キングジムなどもありますが、カシオのほうが安いですね。社外品のシールもありますし。

●カシオ ラベルライター ネームランドBIZ スタンダードモデル テープ付セット KL-TF7 (3.5mm-24mm幅)

刃型管理のために最初に買った機種。

メリット

・電池が使えるのでコードが不要

電池使用・コードがいらない、は非常に便利。単3電池8本ほど使いますが、私は2年は電池交換しませんでした。コード挿しっぱなしが出来る人ならば電池で動く、は重視しなくてokです。

・ハーフカット・オートカット機能がある

ハーフカット(シールを剥がしやすいように台紙は切らず、シールだけ切る)は便利です。年配になればなるほど「シールを剥がしづらいぃぃぃぃ!!!!」ってのはイライラしますので。
(まぁ、社外品は元からシール台紙にカット入っているんで、純正品よりも便利だったりしますが)

基本的に1回に付き3枚印刷しますので、オートカットは必須です。これないと手間増えます。

・安い

5000円ちょいくらい。

・キーボードがついている

下記2機種はスマホ連携しているのですが、逆に言うなら「スマホがないと使えない」です。
パートさんなりに「仕事で使う機械のためにアプリ入れてね」というのはちょと頼みづらい。その点この機種ならキーボード付きですので、気遣い無用です。

デメリット

・キーボード付きで場所を食う

この機種、販売が2016年です。そのためスマホとの連携などは一切ありません。キーボードついているので便利といや便利ですが、その分場所を食います。

・言語変換が賢くない

漉き、という変換をなかなかしてくれない( ´Д`)=3
スマホ連携できたらここらへんは賢くなってくれるんですけどねぇ

・24mm幅使える、と言っているが、印字幅12mmまでしか使えない

シールは24mmまで使えるのですが、印字幅が12mmまでしか使えない。刃型管理のように細かいシール作りにはいいですが、「大きく見出しを作りたい」という場合には不向きです。

●カシオ ラベルライター ネームランド i-ma スマホモデル テープ付セット KL-SL-SET (3.5mm-18mm幅)

自宅用に購入。調味料の見出しに使ったりコードに貼り付けたり、電源アダプターに貼り付けたり。

タコ足コンセントを見て「んー、多分これはモニターだな」とぶっこ抜いて、pc本体だった時は心臓に悪い。
ラベルライターでシールを作り、足コンセントのコードに貼っておくと「これはモニター」「こっちはプリンターのコード」とわかるのは非常に安心感あります。この管理を人生のもっと早い時期に知っておきたかったなぁ
コードに貼るときは、コード用のシールを1個買っておいたほうが良いです。高額ですが、ぴっちりと張り付いてくれて剥がれません。このシールは非常に価値がありました( ´∀`)bグッ!

食材を冷凍しておく際にこの機械で「2109 ニラ」などのシールを2枚作っておき、ニラを入れた袋と冷蔵庫にペタリと貼っておきます。このおかげで冷凍庫の底から発掘して「これなんだっけ、、(´・ω・`) いつのだっけ、、、」と悩むことは減りました。

メリット

・スマホ連携・小さいので場所をとらない

スマホ連携素晴らしい!文字変換が賢い。入力が楽です。
履歴機能も多数ありますし、フォントも多いです。

・電池で動く

電源コードでも動きますが、電池でも動いてくれます。

デメリット

・ハーフカット・オートカットがない

オートカットがないと刃型管理の際の「同じものを3枚印刷」などの際にいちいち手で切らなきゃいけません。本体上部に「このボタンを押すと刃先が下がって物理的に切るよ」というボタンがあります。が、3枚印刷の際にいちいちこんなもの使ってられません。ハサミでチョキンチョキン、と切っていきますが、微妙に効率が悪い&直角に切るのってムズい。

家庭で1枚しか印刷しないんだよ、という使い方ならばすごく便利でオススメです。

・テープ最大幅18mm

見出しとして使うならば18mmと24mmでは結構差があります。自宅でも仕事場でも14mm主体ですのでそれほど困りませんが、1年に1回ほど「24mmだと助かったなぁ」ということがあります。24mmだと3m離れても視認性高いです。

●カシオ ラベルライター ネームランドBIZ PC&スマホ接続モデル テープ付セット KL-PS-SET (3.5mm-24mm幅)

仕事場用に購入。24mm幅が使いたかった&pcで入力出来るので。

メリット

・高額機種なだけあってハーフカット・オートカット・スマホ連携機能がついている。

上記の2機種にあげた機能のメリットは全部ついています。

・pc連携が出来る

PCのほうが手軽に使えるんですよ。入力作業はキーボードの方が圧倒的に早いです。

・24mm幅が素晴らしい

3m離れていても視認性が高い・書き込みスペースが多い、は強みです。

デメリット

・電池使えない

ACアダプター必須。ACアダプター、でかくて邪魔なんですよねぇ( ´Д`)=3
仕事場のPCの隣に常駐させています。

・値段高い

24mm使いたい・ハーフカット・オートカット必須、とかじゃない限りこれじゃなくても良いんじゃないかな。

ラベルライター3種、それぞれ一長一短

困ったことに「これが圧倒的にオススメ」というのがないんですよ、上記3機種。

・ACアダプターなし・電池で使いたいか?
・ スマホで使いたいか?
・24mmの幅が広いシール使いたいか?
・ハーフカット・オートカットはほしいか?
・値段高くてもいい?少しでも安いほうがいい?

だいたいここらへんが判断ポイントかな、と思います。

ないよりはあったほうが圧倒的に便利な工具ですので、仕事・家庭問わず1台はあったほうがいいです。で、1台買ったら「自宅にほしい」「自分の部屋にほしい」とかいい始めます、どうせ( ゚Д゚)y─┛~~

Trelloというアプリ、便利ですよ。刃型に限らず仕事管理でも。

さて、刃型は管理できたけど、これをどう探すか、という問題があります。刃型がどの書類ボックスにあるかがわからないと意味ありません。「自分だけ、どこにあるかはわかるんだよ」では意味がありません。私の場合はパートさんが刃型がどこにあるかわかってくれないと困ります。

で、エクセルなりgoogleスプレッドシートでの管理は諦めました。あれらは便利ですが、スマホで使うには不便ですので。

色々いじくって探したのがTrelloというアプリです。ちょと見られると困るものはボカシ入れています

Trello

ボードに付箋紙をペタっと貼る感じ

要は「ボードに付箋紙をはる」という感じですね。

赤1という書類ボックスに入っている刃型はボード「赤1」に入れる。「2012 円形コースター」という付箋紙をボード「赤1」にペタッと貼る感じです。

付箋紙「2012 円形コースター」をクリックすると更にメンバーや期限、コメント、写真ファイル添付も可能です。

更に検索も「円形」だけでも検索可能ですし「円形 コースター」という複数検索も可能。これにより「あの刃型どこかな」なども簡単に見つかります。

このアプリで作った「刃型」というボードは依頼者さんとも共有しており、依頼者さんが自分で刃型がどこにあるか見つけることも可能です。

仕事でも使える

ちょっと仕事管理の方は見せられないものが多数なので写真載せられないです(´・ω・`)

貼った付箋紙にはいろいろな情報を入れられます。
Trelloを使うのは整理整頓して自分が判別つきやすくする、というのもありますが、それ以上に「他者と連携」出来るのが素晴らしい。

アプリを入れてもらえたら同じボードを他者と共有できます。私は自分の仕事の営業さんと仕事も刃型リストも共有しています。

現在待機中の仕事や、遂行中の仕事が書かれた付箋紙を広げてひと目で見られる、と思ってください。付箋紙の中には「これはここまでできました」「次はこれをやります」「担当は~~です。」「期限は~~です」と情報が入っており、他者と情報共有が容易です。

他者と連携しなきゃいけない人ほど、便利なツールだと思います。

刃型に限らず工具も金具も革も増えていく

仕事ではなくレザークラフトを趣味にしていても革なり金具なり工具なりはどんどんと増えていきます。増えるんだよ、必ず!工具も材料も!!

その際にラベルライターやTrelloは便利ですので、困った時に思い出してみてください。

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