刃型は完全オーダーメイドの割には結構安く作ってくれます。
ではどれくらいで出来るのか、どういう点が高くつくのか、をポチポチと書いていきます。
今回の刃型はドーナッツ刃型。
これは高くなる要素が満載の刃型です。
この刃型は外径33mm、内径25mmという小さなドーナッツ刃型です。多分この小さな刃型で6000円前後します。
外径33mmということは外周が10cm弱です。これが3×2cmの長方形ならばおそらく3300円程度で作れます。(最低金額が3300円程度かかりますので最低金額分です。)
ところがドーナッツ刃型が高額になってしまうポイントは下記の3点にあります。
きれいな円形は高くつく
刃型、というのは材料費よりも技術賃のほうが高く付きます。そのため単純に「~cm✕~~円」という値付けがしづらいわけです。
高額になる=技術がいるポイントとして「きれいな円」や「きれいな弧」があげられます。
とくに円形は難しい。人間の目は優秀でちょっと歪んだ円形を感知してしまいます。
当店でお願いしている刃型屋さんはとても腕がよくこの円形を狂いなく出してくれます。
均一な平行は高くつく
刃型制作で技術がいる点に「直角・平行をきちんとだす」があげられます。
溶接を行うため熱で金属が歪んだりひずんでしまいます。そのため最初の段階では直角平行が出ていたのに溶接するとそれが0.8mm歪んだ、ということはありえます。
今回のドーナッツ刃型では「円形を2つ平行に配置する」ため高くつくわけです。
円形2つ作って、ならばまだましです。「円形2つを平行に配置」するから高く付くわけです。人間の目は優秀でちょっとひずんだ平行を感知してしまいますので。
小さなものは高くつく
今回のドーナッツ刃型は材料費としては微々たるものです。
ただ、小さいとその分ごまかしが聞きません。直径30cmの円形はごまかしが聞きます。大きい刃型の多少の歪みを人間は感知できません。
ですが、今回のような直径33mmの小さな刃型ではゆがんでいる場合一目でわかります。
円形だから、ではなく「一目で認識できるくらい小さな刃型」というのは小さなため作業しづらく、そのくせ歪みがすぐわかります。
小さなものほど神経を使い、時間がかかるため高額になります。
刃型は技術賃がほとんどです。
「犬をかたどった刃型」「きっちりハマるパズルの形」などは特にフォルムが重要になるので大変高額になります。究極的には「金属の固まりから彫刻機でクッキー抜き型のように削ってそれに刃をつける」という彫刻刃型、という方法もあります。これは高いです。ものすごく高くなりますが、機械で作るのでかなりの精度が出せます。
今後刃型の見積もりを書いていきますので刃型をもっと身近に感じてみてください。
刃型、という道具は非常に優れています。(なんせ私がこの業界で食べていこうと思ったのはこれがあったからだもの)
応用次第でかなり色々なことが出来ますのでお楽しみに( ´∀`)bグッ!
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