刃型が好きで好きでたまらないので刃型セミナーを開講してもらうほど好きなんですが。
刃型は巨大で頑丈なカッターナイフの刃を溶接して同じ形をポコポコと生み出せる道具と思ってくださいな。
革業界の量産部門では必須道具です。
さて、そんな刃型ですが完璧ではありません。
いつものごとく自分仕事で新しく作ってもらった刃型でぽこぽこと抜いて整えて始めて気づく
しまった、左部分がちょっと上がっている。。おそらく1mmほど。
これは時計ベルトなのですが、このような小物は1mmのズレが目立ってしまいます。
小物の職人さんに言わせりゃ「刃型は完璧じゃない。どうせずれている」ということで自分で微調整裁断します。
当方が頼んでいる刃型屋さんは腕前ピカ一なのですが、珍しくずれたようで。
こういう場合は刃型屋さんに作りなおしてもらうのですが、今回は時間が足りません。
自分で裁断しなおさなきゃいけません。その数120本ほど。
微調整裁断に限らず少しでも自分の作業性をあげるために作るのが”治具”(じぐ)です。
治具(じぐ)は、加工や組立ての際、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具の総称。「治具」という日本語は同義の英単語 “jig” に漢字を当てたものである。
今回のケースでは「端っこ1mmを切り落とすための目安」となる治具造りです。
こういう治具造りを考えるのも楽しい作業ですが、効率を10%あげるために1時間治具に時間をかけるわけにもいきません。所詮120本程度ですから。
治具造りジグづくり
今回は5分ほどで下記の治具造り
上記のようにアクリルカッターの裏に革をぺちぺちと貼り付けました。
わかりづらいですがこれによりアクリル定規から端っこ1mmほどがはみ出ています。
裁断に使うのは現状で「引いて切る」ことに関してはトップクラスの切れ味を誇るOLFAの0.2mm薄刃を使います。
摩耗速度もピカ一で見る見るうちに消耗していく、定規を使わないと使いづらい、ケガする場合も一気にすっぱり、厚物を切るときはたわんでしまって垂直にはならない、などの欠点難点も多いのですが、現在の市販されているカッターの中ではピカイチの切れ味です。
これでスッパリスッパリと切って行きます。
裁断したカスが0.8mmほどの厚みですね。
さて、お立ち会い
これが微調整裁断後。下が微調整裁断前
刃型は面白い道具でありますが、やっぱり狂っていることもあります。
刃型屋さん数軒と話しましたが
「寸法だけ送ってもらうほうが楽」
「左右対称が出ていない型紙持ってこられると混乱する」
「ぶっちゃけイラストレーターかCADなりで作ってもらったデータが一番助かる」
など千差万別。
今回のケースでもそうですが刃型屋さんが全部悪い!とは思いません。
むしろもちこんだ人の指示や型紙が狂っていることも多々あります。
治具づくりが楽しい、と思えると作業効率性は( ´∀`)bグッ!とアップします、という話でした
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