3月は個人的にコロナによるマンボウ解除で色々なことが襲いかかってきてドタバタとしていました。で、月末にはJLIAのblog宿題がやってきます。毎月4000文字くらいで、と言われるんですよね。(´・ω・`)
レザーソムリエとSDGsと職人募集話から見る「言葉と意識をあわせる重要性」という話
4000文字!足りねぇ!もっと書きたいよ!毎回6000文字くらい書いてしまい削っています。( ´Д`)=3
今回のblogではJLIAblogでも書いていた「言葉と意識をあわせる重要性」という話で削った箇所を載せておきます。せっかく書いたのにもったいないので
目次
使っている言葉が違うから、コミュニケーションがうまくいかない
JLIAblogで書いているのは「使っている人個人や立場、職種によって同じ言葉でも意味合いが異なる」という趣旨のことを書いています。特に「職人」という言葉はほんとに定義が広いです。
厄介なことに消費者であろうと、メーカーであろうと、実際の職人であろうと、それぞれが持っている「職人」像・イメージが強いため「他者の抱いている職人像と自分のは一致しないのが当然」という事を理解していない人が大多数です。
相手が悪い・俺が正しい、じゃなくて、「言葉の定義をきっちりしておかないと無駄にコストがかかる」というだけの話なわけです。
以前紹介した求人案内でも、求人会社の定義する「職人」がなにか、を聞きました。これを募集時にきっちり定義しておかないと、「職人になりたいんです!」or「職人をやっていました!」と言ってから使うお互いの手間暇=コストがとにかく高くつきます。
求人:財布メーカーのナダヤさんが職人を募集、というので聞いてきたし、音声動画もアップしてみた | phoenix blog
人と話す際に「相手と自分が持っているイメージが同じなのか?」をきちんと定義しながら話さないと破綻します。それが夫婦でも、親子でも、恋人でも、仕事仲間でも同じです。
夫婦だからわかるだろ?親子だからわかるだろ?同じ仕事しているからわかるだろ?は単なる意思疎通に対する怠慢であり、甘えです。
で、下記から「長いから削除するか」と削った箇所となります。死なすのももったいないのでこちらで復活させておきますわ。
「鞄・ハンドバッグ・小物 標準用語集」はきちんと「言葉」を定義するために作られた
2012年にJLIAによって監修された「鞄・ハンドバッグ・小物 標準用語集」という本があります。
これは「鞄やハンドバッグ、小物の名前や工程、パーツなどをきちんと定義しよう」というコンセプトで作られた本です。
なぜJLIAがこれを作ったかというと、鞄、ハンドバッグや小物は業種によって微妙に定義している言葉が違ったりします。「リュックサック」などはもちろん誰が聞いても同じような絵が出てきますが、鞄や財布のマチパーツなどは、東のメーカーと西のメーカーでも異なりますし、東のメーカーや職人さんでも隣同士で違う用語を使っている、ということもありえます。(;・∀・) あるんだよ、ほんとに。。
さらに海外に外注する際には、財布のマチパーツなどはそもそも定義づけすらされていないこともあります。
で、この本をお互いに持っていて「小物標準用語集の23ページの上から4番目のパーツを作ってくれ!」などとお互いに「言葉と意識をあわせる」ための道具なわけです。
鞄・ハンドバッグ・小物用語辞典をペラペラとめくってみた – YouTube
『鞄・ハンドバッグ・小物 標準用語集』 | ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス
靴職人、という言葉はものすごく幅が広い
例えば、靴職人、という言葉を聞いた消費者は「靴職人、って言ったらオーダーを受けてお客さんとじっくり話し合って、1足1足を半年から1年かけて作る人だよね」というイメージの方が多いです。
他方、量産の靴業界の人間は「靴職人」という言葉はあまり使いません。それよりも「底付け職人」「甲革職人」という言葉を使います。
甲革職人は「靴の上半分部分の作るためだけの職人さん」です。底付け職人は「出来上がった上部分=甲革を靴の下半分=底、と合体させる職人さん」ですね。
靴業界の場合はそこから更に「サンプル師」「裁断師」など他の職種もありますが、これらも大別すると「靴職人」と言えます。
量産の靴業界の人に「僕は靴職人です」というと「で、靴職人のなに?」と聞かれます。そこから「甲革作ります」「底付けです」「裁断です」「サンプル切ります」など細かく細分化された「靴職人」があるわけです。
ジャパンレザーアワード記念のバスツアーpart1 靴工場はめさ面白い: レザークラフト・フェニックス
靴業界はまだ「甲革職人」「底付け職人」などと定義づけされているから、かなり楽です。せいぜい「甲革は紳士もの?婦人もの?」と聞くくらい。
これが鞄職人だと大変です。
「カバン職人です」と聞いたメーカーはそこから「鞄は男性?切り目仕上げ?ヘリ返し?トートまでいける?袋物いける?革だけ?雑材は?財布とかポーチもいける?」など細かく聞かなきゃいけません。
「じゃぁ鞄業界も『革のトートバッグ職人』や『ダレス専門職人』とか定義づけすればいいじゃん」と思われますが、これも出来ません。なぜなら「革のトートバッグ専門」と名乗ると食べていけないからです。革のトートバッグだけ作っていれば生きていけるほど、需要がないわけです。
~屋、~師、という言葉は「それだけで食べていける」という証明
裁断屋、サンプル師、革屋、靴屋、甲革職人、などの「~屋」「~師」、ついでに「~職人」という定義されて言葉が存在するカテゴリー的なものは「その技術・商材だけで食べていける」という証明ですらあります。
鞄職人という大カテゴリーの中に「トートバッグ職人」という小カテゴリーの言葉がないのは、トートバッグだけ作っていても食べていけないからです。(いや、もしかしたらトートバッグ専門の職人もいるかもしれませんが、ものすごく少数だと思います)
フェニックスだって革屋と名乗っていますが、詳しいのはあくまで「当社で売っている革素材」に詳しいだけです。他社の革や、製品になった革について詳しいわけではありません。
というようなこともJLIAblogで書いていますので、興味あればまたお読みくださいな。
レザーソムリエとSDGsと職人募集話から見る「言葉と意識をあわせる重要性」という話
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