初めまして。
今回レザーを染色して小物を作成したいと考えているのですが、染料についてお問い合わせさせていただきます。染色に使うレザーは厚さ1ミリ~2ミリ程度のタンニンなめしかピット槽なめしのナチュラル色のレザーです。
使用の条件はお手軽さと色落ちや色移りしにくいことと、乾燥後はできるだけ革の硬さやサイズは変化しにくいことです。
事前に試作等試みるつもりですが染色は初めてのため予算の関係もありますので前知識としてお教えください。
?ローバスバチックとローバススピランは仕上がりにどのような違いがありますか?色ムラや硬さ乾燥スピード、色の定着性などご存知の範囲で結構です。
?アルコールはレザーに良くないと聞いたことがあるのですがスピランでの染色は大丈夫でしょうか。
?ローバスバチック、スピランともに色止めにバインダーは必要でしょうか。
?仕上げにレザーフィックスを使用するようなのですがレザーコートは持っています。役割は違うのでしょうか。
また色止めにバインダーを使えば仕上げは不要でしょうか。
?スピランを使用する場合、バチックのように事前に水などで革を湿らせるのでしょうか。またスピランを薄めるためのアルコールとはレザー用のアルコールがあるのでしょうか。
?型紙で裁断後に染めるつもりなのですが、大まかに裁断して染色後に正確に裁断したりするほうが一般的なのでしょうか。
質問が多くて申し訳ありませんが、なにぶん売られている染色用の商品が多くて迷っています。どうぞよろしくお願いいたします
順番に答えていきましょう
ローバスバチックとローバススピランは仕上がりにどのような違いがありますか?色ムラや硬さ乾燥スピード、色の定着性などご存知の範囲で結構です。
塩基性のローパスバチックとアルコール系のスピランでは、
スピランの方が乾燥のスピードが早く、耐光性に優れます。
タンニンなめしの革では定着性等には大きな差は出ませんが、
クロム系の革に染色をするのであれば、スピランを用いた方が良く浸透します。
?アルコールはレザーに良くないと聞いたことがあるのですがスピランでの染色は大丈夫でしょうか。
どちらの染料に関しても、乾燥後は硬くなるので、オイルなどを使用して割れないよう
保湿をして下さい。
アルコール系の方が乾燥後により硬くなりますので、後の手入はしっかりする必要があります。
途中で揉んで柔らかくしたり、オイルを多めに入れる等して下さい。
?ローバスバチック、スピランともに色止めにバインダーは必要でしょうか。
バイダーは下塗り剤ですので、仕上げ剤とコンビでお使い下さい。
上塗りにラッカーやウレタン等を使用するのであれば定着性が良くなるので、
バインダーは使った方が良いと思います。
?仕上げにレザーフィックスを使用するようなのですがレザーコートは持っています。役割は違うのでしょうか。
メーカーが違うので一概にはいえませんが、どちらもアクリル樹脂の仕上げ剤ですので
良く似た物とお考え下さい。
ただレザーフィックスにはワックス成分も含まれているので、仕上げ剤としての効果も
あるようですが、当店では定番で取り扱っておりませんので、その点ご容赦下さい。
また色止めにバインダーを使えば仕上げは不要でしょうか。
下地剤>定着を良くするために最初に塗る=バインダー
染料>色をつける染料=バチック、スピラン、クラフト染料、WA染料など
仕上げ材>表面コートをすることで色落ち帽子=レザーコート、レザースプレー
バインダーを色止めとして仕上げに使うのはあまり適していません。
?スピランを使用する場合、バチックのように事前に水などで革を湿らせるのでしょうか。またスピランを薄めるためのアルコールとはレザー用のアルコールがあるのでしょうか。
スピラン、バチックとも事前に水で湿らせてからお使い下さい。
色のムラが出にくくなり、乾燥後の革の硬化を若干和らげます。
スピランを薄める際はこちらの薄め液をお使い下さい。
うすめ液 – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP
?型紙で裁断後に染めるつもりなのですが、大まかに裁断して染色後に正確に裁断したりするほうが一般的なのでしょうか。
革は乾燥する際に収縮をしてしまうので、形が狂ってしまいます。
先に染色、仕上げを行ってから裁断するほうがお薦めです。
使用の条件はお手軽さと色落ちや色移りしにくいことと、乾燥後はできるだけ革の硬さやサイズは変化しにくいことです
水で薄めることができるバチックの方が手軽さと、乾燥後の革の硬さの点ではお客様の希望に近いかと思います。
色落ちや色移りは仕上げの方法により変わるので、後の仕上げをしっかり行って下さい。
ただ後染めの場合どうしても色落ちのリスクは避けられません、仕上げ剤等もある程度気休め程度に
お考え頂き、「染めた革製品を使用する際は白い服を着ない」「体に触れるパーツは無染色にしておく」等の
工夫をして頂き、うまく付き合って行って頂ければと思います。
・染料・顔料 – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP
ローパス バチック – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP
染料に詳しい本は下記の本です。
レザークラフト技法事典3 – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP
紹介blog染色の奥深い世界へようこそ!レザークラフト技法事典Ⅲ 3!: レザークラフト・フェニックス
ちょっと変わった染色技法が載っているのは下記です。
革工芸の技法 – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP
紹介blog 50年は残したい本、「革工芸の技法」: レザークラフト・フェニックス
2019/05/07追記
参考リンク
染め直し!リカラー! 自分で革靴を染め替えてみた | Kutsu Media|クツメディア|靴メディア
過去の関連blog:
- 《作品紹介》アリゾナでミドルウォレット
- クロムエクセルでトートバッグを作ってみた。
- おか染?芯通し?レザークラフトでよく登場する染色の違いについて
- ジャケットの色染め替えって出来るの?
- 靴を染め変えたいんですけど、、、という話からのレザーダイやら染料話
勉強になるブログ時々拝見させていただいております。
ありがとうございます。以下、質問にご回答よろしくお願いいたします。
https://l-phoenix.jp/blog/archives/878
上記ブログで
・下地剤>定着を良くするために最初に塗る=バインダー
・染料>色をつける染料=バチック、スピラン、クラフト染料、WA染料など
・仕上げ材>表面コートをすることで色落ち帽子=レザーコート、レザースプレー
と書かれていますが
この書き方の順番だと、バインダーがあたかも染料の定着をよくするので、染色前にまずバインダーを塗るように読み取れますが、通常
下地の湿らせる→ローパスバチック等で染色(複数回染色と乾燥繰り返し)→乾燥→バインダー→レザーライト、レザーコート等のコーティング剤
だと思うのですが、バインダーの説明に、何の定着をよくするためなのか、どの工程の最初なのか主語がなくわかりにくく感じましたので、上記の手順の理解がおかしかったら、ご教示よろしくお願いいたします。
KAさん、コメントありがとうございます。
クラフト社に聞いて、また返答させてもらいます。
おまたせしました。回答今日もらえましたので書いておきますね。
またまとめてblog書きますが、返答そのままで書いておきます。
欲しい答えかどうかわかりませんが書き出します。
基本的にはカービング時に使うようです。
・バインダーはラッカーの下地としてラッカーと併用する
→バインダー単体では使用しない。レザーコートなどとも併用はしない
・バインダーをラッカーの下地として併用する理由
→ラッカーのしみ込み防止
→ラッカーがダイレクトに革にしみ込むと、革が硬くなったり革の色が薄くなる・または濃くなる等の変化が出てしまうので、その変化防止
→ただし、革の変化を良しとするのなら、ラッカー単体の使用は有り
・使用順序の1例
カービング→染色→バインダー→ラッカー→アンティック→ラッカースプレー
・その他
→バインダーは乾いても、ある程度はペタペタしている。バインダーが乾く時間は季節に左右される。早く乾かしたい時はドライヤー使用
→アンティック後はラッカースプレーのみの方がオススメ。刷毛を使用するとアンティックを取り除きやすくなるので。