エンターテイメントの革の話をしよう!:ジャンプ連載のDr.STONEにはマニアックな革の描写が行われている


以前から「やろうかなぁ、でも毎月はめんどくさいなぁ」と放置していた「漫画や映画に見られる革表現」というblog記事ですが、諦めて描き始めます。まぁ数年越しのストックも溜まったので10回は大丈夫だろう、ということで。

今回紹介するDr.STONEはさんざんさんざんさんざん「革の話をしよう!革の歴史・買い方編」セミナーで使わせてもらったり、個人的にも好きな漫画&2019.7/5からアニメ化ということで諦めて書いてみましょう。

Dr.STONEってどんなエンターテイメント?

週刊少年ジャンプ連載中の漫画です。2019/07/05現在11巻まで。
原作が「アイシールド21」の稲垣理一郎、絵を「サンケンロック」やSF漫画「HOTEL」の Boichiが書いています。

「HOTEL」は当時雑誌で読んで驚愕したSF漫画でした。よくまぁ今どきこんな骨太なSF描くなぁ、と当時話題になったものです。

あらすじは?

全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年——。

超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。

文明が滅んだ石の世界を前に、

千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。

時を同じくしてよみがえった、体力自慢の幼馴染・大木大樹はじめ、

仲間たちと、ゼロから文明を作り出していく——

STORY | アニメ「Dr.STONE(ドクターストーン)」公式HP

最近風に言うならば異世界転生モノの亜種。

40代以上に言うならば「冒険野郎マクガイバーが崩壊した文明社会を復興する話」で通じるかと。

もっと上の世代向けで言うならば「冒険ダン吉が未来で活躍」で通じるかと。冒険ダン吉は車まで作るから似ているといや似ているんだよなぁ

どちらも私が中学生時代に影響をもらった作品ですな。( ゚Д゚)y─┛~~
新マクガイバーなんてなかったんや、、、なかったんや、、、(´・ω・`)

 

 

アニメ化おめでとうございます

アニメ「Dr.STONE(ドクターストーン)」公式HP

7/5 金曜から放送開始とのこと。各地域は下記参照

ONAIR | アニメ「Dr.STONE(ドクターストーン)」公式HP

こんな人におすすめ

「人類が滅んだら一人っきりになったら」と妄想した人。科学がすきな人。創意工夫が好きな人。「無人島に持っていくならば何を持っていく?」という話で2時間盛り上がれる人。

どこに革の表現があるのか?

2巻124Pから

連載中に読んでいて驚いたシーンです。これを読んでいる読者で「これ、鞣しだな」と気づいたのは10人いないと思うんだがなぁ。単行本2巻を買うとこのシーンの補足説明が入ります。

体力はないが知力だけある主人公が罠で鹿を捉え、肉を食べ、皮を食べ、、ではなくて、皮を鞣して革にしています。

これは口なめし、という技法でイヌイットなどの寒冷地の住人が行っていた鞣し方法。
寒冷地は植物が育たないので植物のタンニンも取れず、煙も使えないので燻も行えない。だから、イヌイットは火を使わずアザラシなりを生肉で食べる食文化が発達しました。

でも動物を獲った以上は皮が取れるので有効活用しなくちゃもったいない、ということで発達したのがこの口鞣し技法。口の中に存在する酵素を活かすことで皮を柔らかくし、表面を滑らかにしていきます。皮は放置しておくとカチカチになりますので。

下記の犬のガムなどは牛の皮が固くなったものですね。

このシーンの素晴らしさは他にもある

2ページ目の黒曜石のナイフでの裁断も解説すると面白いところなのですが、見どころは3ページ目ですね。

1コマ目から靴が出てきます。モカシンですね。基本となる靴と言えます。
みなさんも将来無人島なり未知の世界に放り込まれたらサンダルorモカシンを作っておかないとそもそも探索も出来ません。

現在の人類は靴がないと生きていけないんですよ。
5300年前に存在し、ヒマヤラから発掘されたアイスマンも熊の毛皮による靴を履いていました。

アイスマンの衣類に使われた動物を特定 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
アイスマン – Wikipedia

他に革は?

他のシーンでも革は出てくるのですが、ちょこちょこと表記ゆれ(「皮」と「革」の文字間違い)が見受けられます。腐らないように鞣した状態は「革」であり、「皮」ではないんですよね(;´∀`)

これ以外では直接の描写はないのですが、水力発電などが出てきましたので力を伝えるプーリーベルトは確実に工業用ベルト=革ベルトになりますね。ただ、口鞣しでは工業用ベルトを作るのは不可能でしょうからどこかでタンニン鞣しが開発されているかなぁ、と。まぁ、エジプトの時代からタンニン鞣しは存在するので未来の人間が開発していたんでしょうな
動力伝達ベルトはゴムが開発進化されるまでは革の独壇場でしたので、存在はしているはずです。

この手の話が好きな人におすすめは

この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた (河出文庫)…タイトルのまんま。Dr.STONEの元ネタとも言えるもの。でも革の記述少ないんだよね。機織りの前にまず革だろうが、とツッコミ入れて読みました。

ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)…タイトルのまんま。トースターを買えば2000円程度だけど、ゼロから作ってみよう!灯油からプラスチックを作ろう!ニクロム線を作るために石を採掘しよう!という学生の奮闘記。「自分がほしいものは自分で作りたい」という人にはオススメ。革は関係なし

現代知識チートマニュアル (モーニングスターブックス) …Dr.STONEなりを読んで「じゃぁ実際に石鹸作りたいならどうすればいい?」「磁石はどう作って何に使えるのか」などが項目ごとに解説されている本。無人島に何を持っていく、という質問の回答のひとつは「この本」
鞣し方なども解説されています。

軍事強国チートマニュアル (モーニングスターブックス)…上記の本の続刊。「じゃぁ生活は安定して社会が出来た」となった際に必須となる本。他国との戦争や内政などをどうするか、というのを項目ごとに解説。上記本が面白い、と思った人は読んだら楽しめるかと。

大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー (講談社学術文庫)…中世ヨーロッパの技術話。技術はそれ単体で発生したのではなく、社会の需要に応じて発生する、というのがよく分かる。端的にいえば「必要は発明の母」という話。学術文庫なのに「皮革」の表現間違いがあるのがなんだかなぁ、と。

中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク…中世ヨーロッパ(範囲も時代もめちゃくちゃ広いよね、中世ヨーロッパって、、、)に興味あればこちらもオススメ。イラスト多様で読みやすい。値段高いけど、値段以上の本。多分このblogでも紹介します。

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