フェニックスで売っていた真鍮金具を使った所、革に装着後にサビが出てきた、という相談からの革の話と対処法の話


真鍮製の組みネジとMKホックなどを使っているのですが、製造後、ポリ袋に口部分を開放したまま、保管していたところ半年ほどでそれなりのサビが発生してきました。

なるべく、入れておく引き出しにはタンク型の除湿剤などを入れていたのですが、うまいこと行きません。

それで、ネットスーパーなどを見ていたら工業運送用の防錆紙なる物を見つけて、調べていたのですが、防錆油などと違い、揮発型で密閉空間に入れておくことで効果が発揮するようです。

それで、こういった防錆紙などと革に触れた場合の影響など経験はあるでしょうか?

もしあるなら、注意する点などがあれば教えていただけるなら助かります。

ちなみに、こちらの方で錆や変色の状態を掲載しています。

http://jem-leather-works.blog.jp/archives/3901437.html

Blog書いてくれているけど紹介していいの?

「もちろんokですし、写真も使ってください」

ありがたやありがたや

この金具がサビた

スナップロック(真鍮製) – ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

カタビス 真鍮生地 – ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス

真鍮生地金具はいつかは錆びる

まぁ、これらの金具って真鍮生地=「メッキがかかっていません」ということです。
フェニックスの真鍮金具ってほとんどがクリアのメッキがかかっていないため、サビるんですよね。

以前のケースと違い密封されていない

ホックが錆びた!というケースから「こんなことで金具は錆びる」という話 | phoenix blog

 

このケースは「ニッケルメッキというサビづらいメッキをきちんとしていた」のに錆びた、というものでした。理由を調べた所「ジップロックで密封していたので湿気の逃げ道がなくなった」のが原因でした。

ですが、今回のケースではきちんと「製造後、ポリ袋に口部分を開放したまま、保管していたところ半年ほどでそれなりのサビが発生してきました。」とのこと。このジップロックの話とは違います。

防錆紙ってなに?

ネットスーパーなどを見ていたら工業運送用の防錆紙なる物を見つけて、調べていたのですが、防錆油などと違い、揮発型で密閉空間に入れておくことで効果が発揮するようです。

それで、こういった防錆紙などと革に触れた場合の影響など経験はあるでしょうか?

ふむ?防錆紙(ボウセイシ)というものがあるんだねぇ。紹介されたHpを見てみると

ZERUST (ゼラスト) 防錆のメカニズム

ゼラスト防錆

ゼラストフィルムに混練されているゼラスト成分は、常温で徐々に昇華(気化)して大気中の水蒸気に溶解します。
水蒸気中に溶け込んだゼラスト成分によって、金属表面にできる不均衡電位を抑え、電気化学反応を抑制して防錆します。

金属がゼラストに包装されている間は、常に防錆効果が持続します。(屋内保管時で3年間以上)

いったん内容物がゼラスト包装から取り出されると、約2時間以内で内容物に付着したゼラスト成分も再気化します。

見る限り、密閉容器に革製品with真鍮金具とこの防錆紙を一緒に入れておくと内蔵された成分が容器内に充満して錆びづらくするようだなぁ。ふむ。悪くないと思うけど、容器から出したら結局はもとに戻るなぁ。例えば「この革製品は必ずこの容器にいれて保存してください」とやっていればかなり錆び防止にはなるだろうかな。

質問者さんがゼラストさんに聞いてみた所「革への影響は試験していない。でもピアノ内部の防錆・腐食防止にも使っています」「多湿環境で長期保存しているとカビが懸念される」とのこと。

防錆紙が革に影響及ぼすことはありえるの?

どうだろ?見る限り影響及ぼすことは少なさそうだけど、革って種類によって使う薬剤が違ったりするので「1種の革を調べて、防錆紙が悪影響及ぼさない」=この世の全ての革で大丈夫!とはならないだろうなぁ。

シリカゲルは気をつけよう

容器内の水分除去のためにシリカゲル系を使う!という場合はお気をつけを。シリカゲルが革に付着すると革に悪影響を及ぼす、という報告が出ています。

錆び方がちょっと違う

今回のケースはちょっと違う。サビ方に特徴がありますね

これ、金具が革に付着した所から錆びているように思える。
ってことは、「革に水分が保持されているから錆びた」んちゃうかなぁ。

革靴が呼吸する、という言われるわけ

「えっ!それじゃ革から水分除去しなくちゃ!」というのは早合点。基本的に革はある程度の水分を保持しておかないと劣化していきます。革靴を履くメリットは革靴自体が水分を吸湿し、あなたの足が蒸れることを多少軽減してくれる、ということです。ある程度異常は吸い取ってくれません。

ですので、革靴は毎日同じものを履くよりもローテーションを組んで休ませながら履くほうがベターなわけです。

で、対処法はクリアーラッカーで。

「革自身が水分を保持しているから革に接触している面からサビが始まっている」んじゃないかなぁ、と。

革から水分を除去するのはおすすめしません。普通に保存していたら革は水分を保持します。そこから無理やり取ってしまうと革がカサつきかねません。

ですので、「真鍮金具のほうがサビづらいようにクリアラッカーコーティングしよう!」というのがおすすめ。ぶっちゃけホームセンターで売っているクリアーラッカー塗料で十分です。

フェニックスで買った真鍮金具を使う前にクリアラッカーを軽く吹いて見てください。これで改善されると思います。

このやり方はメッキをかけるよりも軽度なサビ対策です。普段から使っているスナップロックなどでしたら日常使いで触っているうちにクリアラッカーが剥げてきて徐々に錆びるだろうけど、「販売する前に保存していたら勝手に錆びた」、というのは軽減されるかと思いますわ。

金具屋さん、どう思う?

「真鍮に出てくる緑青と一般的なサビの赤錆は違うものだよ。
緑青は銅金属に出てくるけど、赤錆のように腐食していかない。コーティングのように変色し、その後はサビは進行しないし、緑青は簡単に拭い取れるよ。

ぶっちゃけ緑青が嫌な人は真鍮製品を使うべきではないなぁ。ムラキくんが言うクリアラッカーを拭いてもいつかは必ず緑青出てくるからねぇ。クリアの保護も焼付け塗装という手段もあるけど、コストが高くつくから、薄くラッカーふくくらいが良いんちゃう」

緑青 – Wikipediaより

緑青は、銅合金の着色に欠かせない素材となっている。銅葺屋根や銅像においては、むしろ緑青独特の色を美術的にも効果的に取り入れている。古代から銅の鉱石および顔料として利用されてきた孔雀石は、天然の塩基性炭酸銅を成分とする。

緑青は、酸素の触れる表面にのみ発生し、比較的脆いため落とすことが出来る上、緑青が金属の表面に発生すると皮膜が生じ不動態となり、内部の腐食を防ぐ効果がある。ブロンズ像は、緑青の皮膜のお陰で長期間原型を留めることを可能としている。

1960年代とかに真鍮を使い、『真鍮は緑青が出てくるからいやだ!』と言われメッキ技術が進歩したのに、2000年代になったら真鍮が良い!と言われるようになるんだからつくづく人生とはままならないというか予測不能だなぁ( ゚Д゚)y─┛~~

 

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