持ち手の芯には床革がオススメ、という話


知り合いから個人的に修理を頼まれました。
修理はたまにやる分には勉強になり楽しいわけで。
「将来職人になりたいんです!そのためにメーカー入りたいんです!」という人には修理屋さんで修行することを強くオススメします。それほど勉強になるし、様々なスキルが手に入ります。

で、今回は某ブランドのビジネスバッグの持ち手修理、、というか作り直し。

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この持ち手の特徴は厚みがあり段差があること。

ビジネスブリーフケースなのだが、形状的に手持ち部分に非常に負荷がかかる。
ぶらぶらと持った場合の負荷が手持ち部分の脇に非常にかかってしまう。
通常はこういうところには一体成型の持ち手を使ったりするのだが、今回のこの持ち手はちょと困りもの。
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ばらしてみたらわかるのだが、上記写真部分に負荷がかかりちぎれてしまっている。

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見てみるとわかるように紙の芯を4,5枚重ねて一気に刃型で抜いている。
おそらくコストダウンのためだろうが、このような負荷かかる部分に紙芯4,5枚重ねて芯材に、というのは問題があると思いますわ。

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オススメは床革です。
極小繊維の集合体である革、しかもタンニン鞣しでグッと締まっているタンニン床革は芯材として最適です。その分重くなりますが、持ち手部分程度ならばokかと。

今回は手持ちの3mm床革をゴムのりで2枚重ねてセコセコと削りだしました

業者的には大量生産部品に床革芯材使うのはリスクが高い、、というか、元から床革を使う、という発想もないはず。床革を安定的に購入するのは大変ですからねぇ。

そこでお客様!

フェニックスで売っている床革は2500円前後~4000円前後と非常に高額です。
「タンニンヌメ革」で「厚みがそれぞれ指定分はベンズ部分できちんと取れます」という保証がついている床革は貴重品です。
芯材として1枚持っておくと安心ですよ

ヌメ半裁の床革 – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP

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この品を取り扱い始めた当初「床革なのに4000円越え!?暴利だ!」という靴職人の声が。
あら、格安よ?

「なんで!?」

タンニンで厚みが3,5mmあります、と確約している床革が安定的に供給される、ってのはとても贅沢よ。
「床革で厚み3mm以上のものありますか?」と革屋さんにいちいち聞いて走り回ることを考えたら格安ですわ(人´∀`).☆.。.:*・゚

「うっ、たしかに、、(。-ω-)」

その後その職人さんが一番この床革を購入した、というオチ

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この持ち手は「先に持ち手を金具につけて>鞄に取り付けて>全体縫い上げる」という作り方。持ち手を外そうと思うと全体をバラす必要がある。それをやると数万仕事になるので持ち手をばらしてつくり上げる。

が、最後の縫製がちと難しい。無理があるのでミシンでは大変縫いづらい。手縫いでやるにはちょとめんどい部分だなぁ
こういうときはミシンのドラえもんさんにお願いしてみる。

「仕方ないなぁ、のび太くんは、、、ゴソゴソ、、、丸みが付いている中押さえと広い外押さえと針板~~♪」

ワァ、ドラえもん、これはどうすごいんだい?(人´∀`).☆.。.:*・゚

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「この持ち手は反対部分が平べったいやろ?そうなると外押さえと針板を広いものを使うことでしっかりと固定してくれる。段差部分に対しては丸くえぐれている中押さえを使うことでこれまたしっかりと固定してくれる。」

あぁ、なるほど、理にかなっているわね。

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