毎週日曜日はブログ、バックナンバーシリーズの日です。
過去ブログに膨大にあるアーカイブの中から有益な情報を再掲して、日の目を当てよう!
そして最近レザークラフトに興味を持った方にも見てもらいやすいようにしよう!
レザークラフトに限らず、
上手くいかなかった時の対処として原因究明してから次に生かす
というのはとっても大切です。
特に、革の場合は要因を突き止めるのにとっても苦労する素材です。
このブログではハギレで買った革では上手くできたのに、Phoenixで買った革では上手くできなかった、という報告を受けてのものなので、ウチとしても原因追求に躍起になりましたw
皆様のレザークラフトライフにお役に立てれば幸いです。
それにしてもmixiで見つけた、というのが時代を感じさせるなあ。最近の若者は知らないだろうけどおじさんが学生の頃はなぁ…ゲフゲフ
それではご覧ください。2013年3月12日の記事
焼印の隅っこが焦げたのはなんで?という話し
目次
序文:バックナンバーシリーズとは?
Phoenixはここでブログを2014年から書いていますが、実はそのもっと前から他のサーバで書いていました。訳あって現在のサーバへお引越ししましたが、1400ほどあった旧サーバの記事はお引越しできず、そちらのサーバに置きっ放しとなっております。
(旧サーバのブログはこちら)
現在でも古いブログはご覧頂けますが、別サーバの記事なのでブログ内検索などでは引っかかりません。
有益な情報がたくさんあって、とってももったいないなー、と日々思っていたので、これから少しずつ【バックナンバー】としてこのブログ用に再編して掲載していこうと思います。
古い記事の引用となりますので、表現が古かったり今ではもっと便利になっていたりしますが、これは当時のまま載せようと思います。
他にも価格が当時と異なっていたり、登場人物がすでにPhoenixを去った人だったりしますが、こちらは誤解を避けるためにも、ご本人への配慮もあり伏字や編集したものとさせていただきます。
予めご了承ください。
mixiというワードを久しぶりに見たわ
mixiをたまにつらつらと眺めています。
で、見かけたのが「焼印を押したら焦げるのだがなんで?」という質問。
「ソフトベンズに押すと、、」 ソフトベンズ?
うちの子、もというちの革か、、、(´・ω・`)
※写真転載許可済み
質問は下記の内容でした。
「キャスティングホルダーでマイ焼印(兼刻印)を作りました。
ハギレで売っていた革(詳しく種類は理解していません)を焼いてみると
画像のようにソフトの茶色い革、表面がつるっとした少しハードな黄色い革では
上手く焼けています。
しかし、中央にあるソフトベンズ(タンニンなめし)の時だけ
ロゴのネコの右あたりにコゲの色目がついてしまいます。
このソフトベンズで革の作品にタグをつけていたので、
出来ればこのコゲを解消したいのですが、原因がおわかりになる方、
いらっしゃいますか? 」
写真をみるとハギレで売っていた革はおそらくクローム革。
で、当店のソフトベンズはフルタンニン革で表面コーティングなしです。
ソフトベンズにかぎらずヌメ革系統は革の表面にコーティングがされていません。
だからこそ焼けやすく、染料で染めることもできるわけです。
が、そのかわりに熱に弱くなっています。
タンニン革は湿っている時89度で収縮が起こります。日本皮革技術協会 皮革の知識 革の一般的な性質
それに対してクローム革などは熱に強くなっています。
うまく熱を押せている革はクローム革か表面コーティングされているタンニン革のように見受けられます。
そのため熱に強くなっています。
タンニン革でも表面コーティングされていたら熱に多少は強くなります。
(余談ですが木材に焼印、という場合も対称となる木材の水分量と繊維がどれだけ密集しているかどうかによっても変わります)
要因1 ソフトベンズはフルタンニン、かつ表面コーティングなし、なので熱に弱い
もうひとつ、デザインの問題もあります。
色が焦げているというかうっすらと焦げている部分は3方向、もしくは4方向が囲まれています。
たとえば猫のお尻部分。お尻・尻尾・文字、と3方向が囲まれています。
そのため熱の逃げ道がなく、熱がこもりやすくなっています。
猫の背中上部が焦げていないのは上に熱の逃げ道があるから焦げにくくなっている、というわけです。
要因2 囲まれたデザイン部分は焦げやすい
「じゃぁ熱を高めて一瞬押せばいいのかな?」
「熱を低めて長めに押せばいいのかな?」
ここらが厄介なのですが、革の仕上げ・なめしによって条件は変わります。
「押す時間」「力」「温度」
この3要素を替えてデータをとってベストな条件を見つけるしかありません
その際に温度を一定にするためにも調光機などの温度調整できる器具を使うことをお勧めします。
要因3 押す時間・力・温度を一定にしてデータを取る
裏技として、、ソフトベンズのような表面コーティングなし・タンニン革限定ですが水を含ませる、というのも手です。
水を含ませると耐熱温度が弱くなりますのでさらにくっきりはっきりと焦げやすくなります。
「キャスティングホルダーは凹凸が浅いので強い力で押すと凹のへこんだ部分も接触しかねない」とか、「押す革の部位によっても繊維の密集度が異なり、それにより焼印打刻が入りやすいか入りづらいか」など他にもさまざまな要因がありえます。
でも基本は押す時間・力・温度を一定にしてベストを探る、という方式になりますねぇ。
文責:ムラキ
過去の関連blog:
- お客様作品紹介:タンニンキップを使った靴
- 【バックナンバーシリーズ】2012年7月10日:「マイペンアルファ」で描いてみよう!!
- 【バックナンバーシリーズ】2013年2月26日の記事:レザークラフトの肩こりに効く体操
- 【番外編:バックナンバーシリーズ】2007年01月29日 はじめまして。フェニックスです
- 【バックナンバーシリーズ】2007年07月24日 《道具》木槌の違い