普段請負の仕事ばかりしているムラキです。
先日裁断する前に革の粗断ちを大量にする用事がありました。で、その際にどういうことをして効率化を考えたか、という話から、
・接触面積が多くなればなるほど物事は安定する
・カシメはメインの長さ。それの短いのと長いのを2,30個は持っておいたほうが良い
・カシメは木工でも布でもいろいろな時にすごく役立つよ!
という話をダラダラダラっと長文で書きます。
そろそろ長文じゃなくて動画のほうが人は理解しやすい、という社会なのかもしれませんねぇ(´Д`)ハァ…
目次
大量の革の粗断ちをしなくちゃいけない理由
革10枚2100DSほどをA4サイズに裁断する必要がありました。結局180枚くらい裁断してもらったんだったかな?
で、私が雇っているパートさんに裁断してもらいます。革1枚を広げながらクリッカー裁断だと作業効率が悪くなるので、事前に帯状に革を粗裁断してもらいます。
ほしいのは粗裁断のための治具
A4で20cm×30cm。粗断ちなのでプラス1cmとして、21cm×31cmの大きさの治具を作っておきます。今回はベニヤ板4mmを使いました。
完成品が下記のものですが、これを革にあてがって、金属の棒を置いて切っていくわけですね。
この金属棒がもう凶器みたいに重たいんですが、ドッシリとした安定感があります。機械も工具も重くてでかくて硬いほど良いものだ、と思っています。
なぜベニヤ板4mmを使ったか
別に厚紙でもいいんですが、ベニヤ板を使った理由は安定性です。
1 厚紙よりも硬いので寿命が長い
…厚紙はどれだけ固くても厚紙です。金属の棒(体感8kgある凶器みたいな棒です)をあてがうたびに徐々に治具がダメージを蓄積します
2 分厚いので、金属をあてがう際に楽
…厚紙はせいぜい1,5mm。それに対して4mmの厚みは分厚く金属棒をあてがいやすいです。
私の基本的な理念に「接触面積が多くなれば多くなるほど物事は安定する」というものがあります。1,5mmの厚紙よりも4mmのベニヤ板のほうが金属棒に触れる面積は倍以上違います。結果的に、安定性が倍増する、ということです。
※ ベニヤ板を使うのでヤスリ掛け必須
もちろんささくれや表面がザラツイていると革の表面=吟面の上を滑らした際に革が傷つきます。グラインダーと紙やすりでなるべくツルツルにしていきます。完璧にしたいならばニスなり塗ったほうが良いですね。
ベニヤ板に革の持ち手固定するためには、ネジよりもカシメのほうが格段に便利
革+ベニヤ板固定ではネジ頭が小さくて問題がある
で、今回の肝part1が「カシメは偉大」ということです。
持ち手に使った革はその辺に転がっていた1.6mmの革です。ベニヤ板につけるならばネジを使いますが、「1.6mmの厚みの革を4mmのベニヤ板に固定するためのネジ」なんてのは厚み4mm程度のネジとなってしまいます。が、長さ4mm程度のネジなんてのは頭部分は3mm程度になってしまいます。
今回のような持ち手を固定するために頭が小さいネジを使ってしまうと、持ち手の革がネジからスポッと抜けてしまいます。革は力を加えるとそれに応じて歪んだり、ねじれたりしてくれるため、頭の小さいネジでは簡単に抜けます。
「じゃぁ頭の大きなネジ使えばいいじゃん!」と思いますが、ベニヤ板の厚みが4mm程度しかありません。頭が大きくなるとネジの足の長さも長くなってしまいます。
だからこそ、カシメで革とベニヤ板を止めるのがオススメなわけです。
ネジ先端が万が一治具から突き抜けると革を傷つける
万が一にもネジ先端部分がベニヤ板を貫くと革を傷つける可能性があります。これが怖い。今大丈夫でも、将来突き抜けたら、、、と思うと怖くて使えません。
ベニヤ板をカシメで留めるときに実感した「カシメの足の長さは3種類くらい持っておいたほうがいい」という事
ベニヤ板に穴をあける
ボール盤なりでベニヤ板に穴をあけます。大カシメで留めるから穴の大きさは2,5mm程度がいいのですが、ちょうどそばにあったのが3mmドリルだったのでそれでok.もうちょい厳密に書くとベニヤ板は2,5mm、革は3mm、と大きさを変えたほうが失敗率は下がりますね。
(ここらの話はいつかきっちり解説します)
10,5mmの大カシメ足では留まらない
さて、留めるか、、とベニヤにカシメ10.5mmをおいて、革を載せると、、、あ、駄目だ、足の長さが全然出てないな、これ。。。
厚み+1.5mmに3mm以上の長さのカシメを普段使ったほうが良い
私が普段メインで使っている大カシメは10,5mmを使っています。留めるものが1,6mm2枚などが多いため、ですね。
1,6×2+1.5+3で7.7mmでこの場合は9mm程度のカシメで十分ですね。私は10,5mm使っていますが。
「2枚で3,2mmなのに10,5mmじゃ長くない?」
>カシメ10,5mmってカシメの足の長さ単体、ではなくて、頭から足先端までが10,5mmとなります。頭部分が1,5mm~2mm程度ありますので、10,5mmのカシメは実質足の長さ単体で考えると9mm程度です。9-1.5-3.2mmで3mm程度が潰れる部分となります。10,5mmではちょっと長すぎます。
ですが、私は打ち付ける工具にハンドプレスを使っています。ハンドプレスは「垂直に力を均等に与える」という工具なため失敗率が大幅に削減します。多少足の長さが長くても、ハンドプレスなら大丈夫( ´∀`)bグッ!
ここらは下記blogで詳しく解説しています。オチだけ書くと「カシメは足の長さは複数買っておきなさい」「ハンドプレス偉大だよ!」というものです。
カシメの足の長さはなぜ違うのか?という実例 | phoenix blog
今回はベニヤ板なのでクッション性がまったくない
今回留めたのはベニヤ板+革です。革同士ならば多少分厚くても打ち付けたら、革が多少痩せてくれます。結果的に留まってくれます。
ですが、今回はベニヤ板。どれだけ強く打ち付けても革ほどは痩せてくれません。
これではカシメが潰れる余地がないため絶対に留まりません。
で、12,5mmのカシメを使ってみましょう。
ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス / 大カシメ
10,5mmと12,5mmなんて2mm程度の違いだけど、その2mmがすごい
左が12,5mmですね。右が10,5mm。2mm程度ですが、この2mmが大きいわけです。
頭が3mm程度出てくれました。これだけ出てくれるとカシメがクシャッと潰れてくれて留まってくれます。
ネジと違いカシメは革を傷つけない
ガンガンと無事に留めました。ネジで留めてしまうとこの裏面部分が悪さをするわけですね。
カシメはかなり便利な金具です。
今更ですが、カシメやホックってかなり便利です。レザークラフトや革の世界の人間は当たり前の話ですが、革以外、、例えば布や木工の人はカシメやホックの存在を頭の片隅に入れておくと格段に幅が広がります。
上記のように材木と革を留めるのに使えますし、布と革や布と布同士も留められます。
布地を留める際は当て革をあてたほうが後々にダメージを軽減してくれます。このひと手間やっておかないと布地はいつか裂けてきますね。
バネホックについてまじめに解説してみよう。どの工具を使うか、どう打つか: レザークラフト・フェニックス
まとめと購入先はこちら
さて、まとめ。最初に書いたように下記がこのblogのまとめとなります。
・接触面積が多くなればなるほど物事は安定する
・カシメはメインの長さ。それの短いのと長いのを2,30個は持っておいたほうが良い
・カシメは木工でも布でもいろいろな時にすごく役立つよ!
で、購入先。
●カシメ全体は下記から。
ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス / ・カシメ
初心者でも上級者でも一生お世話になるのが大カシメ
メインとなるものの他に「一番長い12,5mm」や「一番短い7mm」などもお守りとして2袋ほど買っておいたほうが良いです。
ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス / 大カシメ
●小さいものにもつかうことがあるので、小カシメも買っておいたほうが良いです。
ヌメ革と真鍮金具とレザークラフト材料の通販-フェニックス / 小カシメ
ハンドプレスは「早く買っておけばよかった!工具」でアンケート取るとトップを取る工具です。ホックやカシメの失敗率が大幅に減ります。
ホックがうまく打てない、という場合はハンドプレス買わなきゃいけないのか、と絶望して希望を見出す話 | phoenix blog
ハンドプレスを将来使う!or使っている!というのならば下記のセッタースイッチを買っておくとハンドプレスのコマを手で打てるようになります。
ハンドプレスの駒を手で打つ美しい工具があるんだけど、早めに買っておいたほうが良い、多分、という話 | phoenix blog
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