「アリゾナみたいに柔らかい革にもオススメのヘリ落としはありませんか?
現在は協進エルのヘリ落としを使っているのですが 持ち手が緑色の物 ちょっと潰れた感じに
なるので 何かオススメがないかと思い お問い合わせ致しました。
厚みは1.5ミリから現厚を使い 縁は0.8~1.0ぐらいに薄くして使っています。」
という質問が来ましたので解答を書いてみます。
オチとしては「研ぎと固定の問題ちゃうかな?でも根本的にはアリゾナくらいの柔らかさの革にヘリ落としは難しいです」となります。
目次
普段使っているのは1900円
私が普段愛用しているのはクラフト社の1900円のものです。
(これの半額のものがありますが、金属の質が好きじゃないのでちとオススメしづらいです。)
2000円ちょいの協進エルのプロ用、というのは金属も硬く全長が小さいので力が伝わりやすいですね。
クラフト社製 KS ヘリ落とし – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP
協進エル製 プロヘリ落とし – レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP
まぁ、動画見てくだされ
ちょっと長いのでところどころ再生速度120%にしています。
ぶっちゃけ付属の研ぎ棒が現状に即していない
フェニックスで売っていないような高額なヘリ落としも存在しています。
ですが、ヘリ落としに限らず刃物に重要なのは研ぎです。
ですが、ヘリ落としには2mm直径の研ぎ棒しか現状存在していないんですよね。
これですと一番太い4番のヘリ落としにはいいんですけど、細い1~3番には適合しておらず、しっかりと研げていません。
だから切れ味が悪くなり、硬い革や程々に硬い革に刃がたたなくなっています。
私はピアノ線1.2mm.0.9mm.0.4mmの3種類を使い分けて研いでいます。
研ぎ棒の上に紙やすりを置いた曲面がヘリ落としの刃先曲面にしっかりと接しているかが重要です。
研いだ後にバリを取るのが重要
包丁でも革包丁でも漉き機でも同じですが、研いだ後に必ずカエリ=バリが出ています。
これをとらないことには刃はしっかりと切れません。
ですので動画では0.9mmの棒で研いだ後に一回り小さい0.4mmでバリを取っています。
でもそもそもが柔らかめの革にはヘリ落としは適していない
逆説的ですが、硬い革、というのは基本的に作業がしやすいです。
裁断するにせよ、縫うにせよ、コバ処理にせよ、柔らかくなればなるほど作業しづらくなります。
ヘリ落としも同じです。
ちょっとでも柔らかくなると刃が引っかからなくなり、結果的にヘリが落とせません。
まず上記の研ぎを参考にキンキンに研いでみましょう。
まぁ、上記動画では私は1000番の布ヤスリで3回ほどシャッシャッと研いでいるだけですね。
モノづくりの本質は「どれだけモノを固定して力を逃さないか」
だと思っています。
与えた力が地面や空間、くにゃりと逃がすことなく、対象にしっかりと伝える。
それにより切断もカシメ打ちも釘打ちも縫製もしっかりできます。
だから、
ヘリ落としも力を逃さないように革をしっかりと固定する。
そのために定規でしっかり固定、です。
ここらは動画を見てくださいな。
「柔らかい革のヘリを丸くしたい!」
TXコートや目止め液を使ってヘリを固めてしまってヘリ落としをする、コバ処理液のクリアかTXコートを塗った後にコテでヘリを潰してしまう、というような裏技もあります。
※2021.8月~
TXコートは廃盤となり、[ DXコート ]としてリニューアルされました。
ちょっとここらは裏技的なものとなりますね
ヘリ落としの基本はあくまで「固めの革に使う」だと思ってください。
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へり落としのピアノ線探しましたがまっすぐなものが見つかりません。巻いてあるものや長すぎるものがあります。
どちらでで購入できますか?教えてください。